研究課題/領域番号 |
23246117
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
蔡 安邦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90225681)
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研究分担者 |
亀岡 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60312823)
藤田 伸尚 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70431468)
西村 睦 物質・材料研究機構, 水素利用材料ユニット, ユニット長 (20344434)
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キーワード | 金属間化合物 / リーチング / 酸化物 / 還元 / ナノ組織 |
研究概要 |
本年度では、リーチングおよび選択酸化を活かした組織制御を展開し、大きく以下の3つの成果を得た。 (1)今まではAl合金を限定し、リーチングを行ってきた。リーチングの可能性をさらに拡張していくために、Mg合金を前駆体としたと同時に様々溶液をリーチング液として触媒調製を試みた。また、議論を単純化するために、Mg-Au合金を前駆物質として用いた。Mg_3Au,Mg_2Au,MgAuの3合金はいずれも、10wt.% HNO_3,HCl,CH_3COOHのいずれの水溶液でもリーチンングが可能であることが分かった。溶液、前駆体組成をパラーメータとしたリーチングにおいては結晶子サイズや格子常数等幾何的な効果が支配因子となる。リーチングによる結晶粒子のナノ微細化とともに、表面に欠陥であるステップやキンクの増加をもたらし、触媒活性に寄与することが明らかになった。 (2)Zr-Ni-CuとCe-Ni-Cuアモルファス合金を前駆体として、結晶化を施すことでナノ組織を得た。しかし、Ce-Ni-Cuアモルファス合金は室温においても酸化が進むことで、組織制御が難しいため触媒反応をZr-Ni-Cuのみについて行った結果、メタノール水蒸気改質反応において一定な活性を示したが、Ni/Cuの合金効果による選択性の劇的な変化が観測されなかった。今後は酸化した試料の触媒活性を行う必要がある。 (3)今までAl_<67>Au_<19>Fe_<14>合金が層状のAl_2Au/Al_2Fe共晶組織を形成し、その組織にNaOH水溶液でリーチング処理を施すと微細な層状のAu/Fe_3O_4組織を形成することを発見した。リーチング後のポーラスAu触媒は優れたCO酸化特性を示し、高い熱安定性も兼ね備えていた。今年度は新たにAl-Pt-Feにも同様なAl_2Pt/Al_2Fe共晶組織を示すことを発見した。リーチング後にもラメラ組織が保たれていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リーチングによる触媒の創製においては順調に進んでいるが、選択酸化によるナノ組織の制御は、必ずしもうまく行っていない。理由は着目したCe合金の組成にCe含有量が高く、室温においても酸化が進行したためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進は、(1)合金効果、(2)組織効果およびその(3)両者の相乗の3つの項目で展開していく。3元系金属間化合物のリーチングには合金効果、Al-Au-Fe共晶組織には組織効果、アモルファス合金の結晶化あるいは酸化には相乗効果がそれぞれ期待される。それぞれの例を増やして、系統的に調査し指導原理を導いていく予定である。
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