研究実績の概要 |
本年度において, アモルファス相とAl金属間化合物を前駆体で調製した触媒のCO酸化反応(CO + 1/2O2 →CO2)の活性と微細組織の関係を調べた. (1)アモルファス状態では触媒活性を示さず, 反応過程中アモルファス相の酸化よって結晶化が起こり, 酸化物と合金相が生成されて初めて触媒活性が発現した. 酸化雰囲気では, アモルファス相中のCuが表面に拡散し, Cu2Oが形成されると同時にAgやCeが内部へ濃縮され, 結晶化をもたらした. 最表面にCeO2でなはく, Cu2Oが形成されたのは, Ag-Ce間の強い結合で Ceの表面への移動を妨げると推察される. 液体急冷したCu48Ce4とAg48Ce4合金の酸化後においてもアモルファス相と同程度の触媒活性を示すことから, 触媒活性の起源は分散したCeO2にあることが分かった. (2) Al-(Pt,Au)-Fe3元合金系において, Al13Fe4にごく一部のFe(1 at.%)をPtとAuで置換した合金をリーチ処理することで, 高い触媒活性を実現した. Al13Fe4は準結晶の近似結晶として知られ、Al-Fe準結晶においても同じようにごく一部のFeをPtとAuで置換することで, 高い触媒活性を示した.本手法では, 用いられる貴金属量が少ないだけでなく, 含浸法や共沈法のように加熱で塩を蒸発させる必要がないので, 触媒の調製過程において貴金属の凝集が起きない. (3) Al-Au-FeとAl-Pt-Fe合金におけるAl2Au, Al2PtとAl5Fe2の方位関係について, 電子回折パターンとEBSDの結果から, Al2Auの(110)方向とAl5Fe2の(001)方向が平行していることが分かった. 今年度の研究計画に対する達成度は約100%であると評価している. 本研究では, 触媒調製においてアモルファス相と準結晶の有効な利用法を見出して, 新しい触媒調製法を開発したので, 今年度の研究計画に対する達成度は約100%であると評価した
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