研究課題/領域番号 |
23246118
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増本 博 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (50209459)
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研究分担者 |
張 亦文 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教育研究支援者 (30579959)
牧野 彰宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30315642)
小林 伸聖 (公財)電磁材料研究所, 電磁気材料グループ, 主席研究員 (70205475)
横井 敦史 (公財)電磁材料研究所, 電磁気材料グループ, 研究員 (60513760)
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キーワード | ナノ複相構造 / 複機能融合物性 / 磁性体 / 誘電体 / 薄膜 |
研究概要 |
電子デバイスの統合化、小型化、省エネ化の観点から、広帯域対応の高周波ナノ複相構造薄膜材料の開発を目標としている。 本年度は、誘電セラミックス中にナノ磁性金属粒子が分散した磁性体-誘電体ナノ複相構造薄膜を作製し、その作製条件と、構造、微細組織、組成との関係を調査し、得られた膜が優れた軟磁気特性を発現することを明らかにした。また、新たに発案する「積層成膜自己拡散法」の検証、および「積層成膜in-situレーザ拡散法」の設計および製作を行った。以下に具体的な研究結果を述べる。 今年度は、まずナノ複相構造を生成する磁性体と誘電体の組み合わせを探査した。その結果、耐熱性の観点から窒化物に着目しCo-TiN、およびCo-AlNの組み合わせを見いだした。一方、低温での結晶性に着目し、優れた酸化物として、CoPd-SrTiO_3の組み合わせを見いだした。今後も強磁性-強誘電体の探査を進める予定である。 高い耐熱性と化学的に安定なTiNをマトリックスとする、Co-TiNナノ複相構造薄膜をスパッタ法で作製し、CoX-(TiN)100-X(x=40-80at.%、TiRは化学量論比組成)のCoの広い組成範囲で、軟磁性を示す複相構造薄膜を得ることを見出した。さらに、この膜の熱処理を行ったところ、膜の保磁力(=~5Oe)は600℃まで不変であることから高温で利用できる軟磁性材料としてCMOSデバイス等への応用が期待できる。 強磁性材料であるCoPdと複酸化物誘電体材料であるSrTiO_3をマトリックスとするCoPd-SrTiO_3ナノ複相構造薄膜をスパッタ法で作製した。CoPd量および熱処理(600℃max)のコントロールにより、膜は強磁性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体として東日本大震災の影響は期間にして約3ヶ月程度の停滞をもたらした。既存の装置を用いた実験は、その修理や調整で約2ヶ月程度だったので、期間中に挽回することができたが、新規装置の設計・製作は、依頼先の事情もあり、その遅れを期間中に取り戻すことはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究の遅れについては、当初の計画通り既存の装置を用いた方法の研究を先に行うことで対処しており、現在、新規装置の立ち上げも急いでいる。したがって、今後の推進方策については、研究計画の変更の必要性は無いと考えている。
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