研究課題/領域番号 |
23246124
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榎 学 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70201960)
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キーワード | 溶射 / コーティング / アコースティック・エミッション / ものづくり |
研究概要 |
極限的な環境下での構造物の信頼性を確保するために、材料の損傷・劣化を感度良く計測できるAE法を用いることが有効である。実用的な表面処理技術を用いたマテリアルプロセッシングに対して構造ヘルスモニタリングを行うためには、高感度のレーザーAEシステムの開発が是非とも必要となる。そこで、本研究では、新たに極限環境下にも適用可能なシステムの開発を目指し、このシステムを用いて表面処理技術の高信頼性化を目的とした。 (1) 高感度化のための波形解析プログラムの開発 連続波形収録装置をもとに周波数解析を行うことによりレーザーAEシステムの高感度化を進めた。このシステムは、レーザー干渉計を用いた非接触でのAE計測システムと、対象物の表面振動を連続に収録するシステムからなる。バックグランドノイズ大きいレーザー干渉計の出力から、有効なAE信号を分別するために、新たに雑音除去のための周波数解析プログラムを導入することにより、計測システムの高感度化を図った。 (2) AEイベント検出プログラムの開発 従来のAEシステムでは、AE信号の計測のためにはしきい値を設定して、その値を超えた信号のみを計測していた。高帯域のAE信号の解析にあたっては、有効なAE信号の抽出のためには、このように信号を切り出す必要があった。しかし、レーザーAEシステムにおいては、バックグラウンドノイズが大きいため、このようなしきい値を用いた計測では有効なAE信号を検出できない。上記の連続波形計測と周波数解析を組み合わせることにより、雑音に埋もれたAE信号の抽出を可能とするプラグラムの開発を行った。過酷な雑音環境が想定されるマテリアルプロセスにおけるインプロセス計測を行うために、現有の装置にさらなる改良を加え、計測のS/N比の向上を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザーAEシステムの改良をすすめることにより、従来は雑音に埋もれて検出が困難であった、AEイベントの検出が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
実際の表面処理におけるマテリアルプロセスに適用可能なシステムが開発できたので、大気プラズマ溶射などの実際のプロセスに応用し、プロセス中に発生する損傷の評価を試み、高信頼性の材料の作製を目指す。
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