研究課題/領域番号 |
23246131
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (00303876)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 太陽電池用シリコン / シリカ / 溶融塩電解 / 低リン / 低ホウ素 |
研究概要 |
1.高温(800-1000℃)溶融塩中におけるシリカ電解還元による低リン・低ホウ素シリコン製造法(高純度化およびプロセス連続化) 1-1.高純度化 昨年度に引き続き、小型電解セルを使用してさらなる高純度化を検討した。不純物混入メカニズムを考察するために、反応途中のサンプルについても準備して分析した。一度の実験で多数のサンプルを作成するために、直径1-2 cmのカーボン製もしくはアルミナ製るつぼ内にシリカを装填し、これを電解セル内に浸漬するタイプの電極を使用した。得られたサンプルをICP-MS、GD-MSにより分析さたところ、4N-5Nの純度を確認した。ただし、BとPの不純物濃度は目標値より高かった。これらの不純物はるつぼ材からもしくは洗浄過程で混入することが明らかとなった。 1-2.プロセスの連続化 本年度は、800-1000℃においてシリコンと液体合金を形成する物質として、亜鉛を選定して検討を行った。液体亜鉛電極上でシリカが電解還元されることを確認した。 2.低温(200-400℃)溶融塩中におけるシリカ電解還元による高純度シリコン製造法 昨年度に引き続き、溶融LiCl-KCl-CaCl2(融点332℃)系を主に用いて検討した。低温においても電解還元反応は進行するものの、反応速度が小さいことが課題となることが分かった。一方、高純度シリコンの生成ではなく、リチウム二次電池用負極活物質の合成法としての応用が期待できることが明らかになった。特に、シリカ-カーボンコンポジットを電解還元すると、アモルファスシリコン-カーボンコンポジット材料を形成することができた。今後はさらに電解条件等を最適化し、実際に負極特性を測定する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高温溶融塩中における高純度化については、不純物混入経路が明らかになった。また、プロセスの連続化も、底部から「溶融塩+シリコン」をスラリーとして取出す方法、および「液体亜鉛合金カソード」の検討が進んでいる。低温溶融塩系については、反応速度が小さいといった課題が出てきているものの、リチウム電池用負極材料といった他方面への展開が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には、申請時の計画から大きな変更はない。ただし、シリコン中の微量不純物分析を精度良く行うためには、サンプル量として数グラム以上必要であることが分かったため、大量還元およびゾーンメルティング装置による結晶シリコン棒作成を重点的に行う予定である。純度の良いサンプルについては半導体特性や太陽電池としての特性を測定していく予定である。また、リチウム電池用負極材料としての応用についても検討する予定である。
|