研究課題/領域番号 |
23246132
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
神谷 秀博 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20183783)
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研究分担者 |
LENGGORO Wuled 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10304403)
飯島 志行 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (70513745)
鮫島 俊之 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30271597)
伊原 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90270884)
酒井 幹夫 東京大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00391342)
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キーワード | 色素増感太陽電池 / 積層型太陽電池 / ナノ複合体 / 離散要素法 / コロイド化学プロセス / エアロゾルプロセス / ナノ界面間力設計 / 凝集分散制御 |
研究概要 |
代表者らがこれまで構築してきた微粒子、ナノ粒子の界面構造・機能設計法により分散性、配列性など自在に制御可能なナノ粒子、微粒子基盤技術と、固体接触型太陽電池、色素増感型太陽電池の各分野で先端的研究を展開している研究者と連携による高エネルギー変換効率など優れた特性を有する太陽電池デバイスの創成と、それに必要なナノ粒子分散・配列設計法の研究技術基盤を確立するための基礎的検討を行なった。表面構造を制御したシリカなどモデル粒子を用い、既存設備であるコロイドプローブAFMによるナノ粒子間相互作用の測定と、新たに導入した粒子混練装置、及び液中粒子分散状態評価システムとの比較により検討し、定量的なモデルの提案を試みた。また、離散要素法による流動挙動と粒子間相互作用の関係の定量的解析も開始し、高粘性濃厚系スラリー挙動と粒子凝集状態の関係の定量的検討を分担者の酒井と実施した。 電池用部材への検討については、分担者の伊原らが開発したプラズモン効果を用いた色素増感型太陽電池用原料である表面修飾しながら合成したAg,及び市販Tio_2ナノ粒子について、表面修飾状態と有機溶媒、Tio_2基板への分散状態と電池性能の関係を解析できるツールを確立した。このツールを用い電池デバイス製造用の有機溶媒中での分散状態、界面構造設計を行い、界面構造の分析と溶媒への分散状態、TiO_2塗膜中への銀粒子配列構造に及ぼす界面構造設計の影響を解析した。また、分担者の鮫島らが開発した「ITO粒子複合透明導電性接着剤による積層型太陽電池」作製に必要な積層電池間に挟まれる導電性接着剤層の機能向上のため、分散粒子として使用するITO粒子の構造、粒子径制御を変え、耐熱性のあるシリカナノ粒子複合シリコーン樹脂への複合化に成功し、粒子分散した樹脂の電気的性質を測定した。さらに希土類元素を含まない導電性、量子効果を有する半導体ナノ粒子を複合した接着用樹脂を開発するため、導入した有機溶媒用噴霧加熱装置を用い、噴霧熱分解法による導電性微粒子の構造設計の可能性を、分担者のLenggoro、飯島の協力により検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ナノ粒子間力と濃厚粒子系でのスラリー挙動定量解析式、離散要素法によるソフトウエア構築、ITO粒子分散樹脂接着剤の合成の成功、プラズモン効果を発現する銀ナノ粒子の表面設計と電池の試作に成功するなど、当初想定した1年目は検討を行うとしていたレベルを遥かに超え、これまで各分担者と基礎的検討を継続した成果が初年度から現れ、具体的な成果物が挙がり、各テーマについて学会発表が1年目から実施でき、一部論文執筆も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本基盤研究を実施する前から、各分担者との議論を積み重ね、自主経費による基礎実験や、モデルの検討を行なっていたことが、本基盤研究の採択により加速的に成果となって初年度から結実しつつある。基本的な解析ツール、モデリングプログラム、粒子表面設計法と電池部材への基礎的な関係が解明されてきたので、今後も、研究計画通り推進していくことが重要と考えられる。
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