研究課題/領域番号 |
23246134
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今野 幹男 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40125547)
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研究分担者 |
長尾 大輔 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50374963)
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キーワード | ポリマー / 微粒子 / 単分散 / 静電相互作用 |
研究概要 |
本年度は、単分散性のポリマー粒子を合成するための重合実験を以下2種の重合系で行った。一つは、水を溶媒とするpH緩衝液に高分子電解質を添加したミクロンオーダー大粒子合成のための重合系であり、もう一つはpH緩衝液にイオン性界面活性剤を微量添加した小粒子合成(100nm以下)のための重合系である。いずれの系においても重合開始剤には弱電解質性のものを使い、重合pHによって生成ポリマーの荷電状態を制御できるように設定した。重合はアニオン性の粒子核が発生するpH7.5~9の範囲で行い、そのpH範囲において単分散なポリマー粒子が得られる条件を探索した。 ミクロンオーダーの大粒子合成については、高分子電解質としてカチオン性の弱電解質高分子(ポリアリルアミン)を添加した重合系を対象とした。当研究室ではこれまでに、重合系にポリアリルアミンを添加することで生成粒子径が飛躍的に増大することを示してきたが、ポリマー粒子の収率は必ずしも十分ではなかった。本年度、種々の条件で重合を行ったところ、重合開始から粒子核が発生し始め、その粒子核が適度に凝集した後に反対荷電を有する(アニオン性)強電解質界面活性剤を微量添加することで、単分散なポリマー粒子が高収率で得られることを明らかにできた。 一方、小粒子を合成するための実験では、イオン性界面活性としてカチオン性の臭化セチルトリメチルアンモニウムを微量添加した水溶液に、前述のカチオン性弱電解質高分子も加えることで、100nm以下の単分散なポリマー粒子を高収率で合成できることを新たに見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
水を溶媒とする析出重合において、高分子電解質と界面活性剤を微量添加することで、100nm以下の小粒子からミクロンオーダーの大粒子まで幅広い粒径域において、単分散なポリマー粒子が得られることを実証した。ポリマー収率の観点でも、界面活性剤を微量添加することで従来問題となっていた低収率を大幅に改善することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
粒子形成過程の粒径分布や表面電位をより詳細に解析することで、幅広い粒径域において単分散性ポリマー粒子が得られた要因を検討するとともに、その検討結果をもとに更なる粒径制御域の拡大を行う。
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