研究課題/領域番号 |
23246147
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 英一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (40178710)
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研究分担者 |
西元 美希 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 開発員 (40450704)
志波 光晴 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, グループリーダー (70242120)
砂川 英生 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙輸送ミッション本部, 開発員 (70598846)
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キーワード | 熱疲労 / クリープ疲労 / Cu-Cr-Zr系銅合金 / 液体酸素・液体水素 / ロケットエンジン |
研究概要 |
液体酸素・液体水素ロケットエンジンの燃焼室の内筒を構成するCu-Cr-Zr系銅合金(Cu-0.7Cr-0.09Zr(mass%))の熱疲労挙動を調査した.大規模3次元有限要素解析の結果を精査することにより、液体水素冷却溝壁は、1燃焼サイクルにおいて大ひずみ低サイクル疲労をおこすが、その定常燃焼中に応力保持クリープ状態をもつということが明らかとなった.それゆえ、従来のひずみ保持状態ではなく、応力保持状態を持つクリープ疲労試験を実施することにしたが、これには疲労試験の途中で制御をひずみから応力に切り替えるという複雑な走査が必要となった.クリープ疲労1サイクルのクリープ変形量は、クリープ疲労サイクルの進行に伴い増大した.最終的に、試験片は、非常に少ないサイクル数の応力保持中に破断した.単純クリープおよび単純疲労との比較から、応力保持クリープと疲労の相互作用によって、本合金は、クリープ疲労の分析に広く適用されている線形損傷側から推測されるよりも早く損傷を受けていることがわかった.パラメータ(温度、疲労ひずみ範囲、クリープ保持時間)のクリープ疲労挙動に与える影響を調査した.クリープ疲労における過大な損傷は毎サイクルの遷移クリープの積重なりによって生じている.この損傷機構は今まで十分に検討されてきていないものである.また、上述のように線形損傷則は危険側の推定を与えるので、今後のロケットエンジンの設計にとっても、重要な問題の提起となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来の線形損傷則は危険側の推定を与えるという、今後のロケットエンジンの設計にとって重要な問題の提起を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書の研究計画・方法に基づき、以下の項目の研究を進める。 (1)エンジン解析(砂川) (2)数値解析(西元) (3)材料試験(佐藤、川合) (4)組織観察(佐藤、松永) (5)非破壊評価(志波)
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