研究課題/領域番号 |
23246150
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤久保 昌彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30156848)
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研究分担者 |
飯島 一博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50302758)
岡澤 重信 広島大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10312620)
柳原 大輔 愛媛大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10294539)
田中 智行 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20452609)
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キーワード | 船舶工学 / 最終強度 / 座屈塑性崩壊 / 構造流体連成問題 / 浮体構造 |
研究概要 |
大波高下における船舶および浮体式海洋構造物の構造破損リスクの実用的解析評価法の確立のため、次の5項目の研究を行った。 (1)Smith法を導入した曲げ涙り梁要素の開発:剪断力および涙りモーメントによる断面の反りの影響を考慮するため、Smith法と同じ断面モデル化法を導入した曲げ涙り梁要素を開発した。本要素をコンテナ船模型に適用し、FEM解析との比較より、精度の高い適用性を示した。 (2)拡張梁要素とISUMの結合:隣接トランス間およびガーダー間を1要素で分割するISUM防撓パネル要素の開発の前段階として、防撓材間を1要素でパネル分割するISUMモデルについて、プリポストとソルバー部と組み合わせた解析システムを構築した。 (3)曲面防撓パネルの平均応力~平均ひずみ関係の導入:コンテナ船のビルジサークル部の曲面防撓パネル、および前後部の横肋骨式構造部の曲面パネルのそれぞれに船長方向圧縮が作用する場合についてFEMによる座屈・塑性崩壊解析を行い、平均応力~平均ひずみ関係に対する曲率効果を検討した。 (4)シェルFEMによる適用性検証:実船の断面およびホールド構造をシェルFEMでモデル化し、動的陽解法FEMソフトを用いて準静的解析を行って簡易解析モデルの精度検討のための参照解を得た。 (5)水槽試験模型の設計:まず純曲げ崩壊のみを考え、2分割モデルの連結部に等価な曲げ最終強度を与える破損機構を設けた水槽試験模型を設計・製作した。また、水槽の長さ方向の所定位置に所定振幅の過渡水波を作用させる技術を開発した。さらに、一発大波に対する波浪中破損試験を実施して、変形の累積挙動を把握するとともに、簡易解析法と比較して、有効性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Smith法の拡張による曲げ振り梁要素の開発は予定通りであるが、大型ISUM要素の開は予定よりも遅れている。一方、等価最終強度を有する水槽試験模型の設計は予定以上のペースで進み、当初24年度に予定していた水槽試験をかなり実施することができた。以上を総合して、(2)と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
剪断変形を考慮した梁要素は、梁理論を拡張するよりもISUMを直接適用する法が実用上有効であると考えられるため、その方向で進展を図る。また梁要素解析のモデル化と結果表示の迅速化を進めるため、プリポストの整備を前倒しで実施する。今後のケーススタディーの迅速化に寄与するものと考える。水槽試験模型は、繰り返し過渡水波の試験まで拡大し、より実用的な挙動把握と、開発システムの検証データの充実を図る。
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