研究課題/領域番号 |
23246154
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 千弘 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (30271878)
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研究分担者 |
須藤 孝一 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (90291252)
畑山 正美 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30447148)
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キーワード | 微生物コンソーシアム / 土壌汚染 / 塩素化エチレン / 芳香族炭化水素 / 優占種 / 遺伝子解析 / 生物分解 |
研究概要 |
本研究ではバイオレメディエーションの適用範囲を拡大するために、微生物コンソーシアムが実汚染土壌中で対象有機汚染物質の分解能力を安定的に発現させるのに必要な要因を解明することを目的とした。研究にはメタン生成細菌が共生する塩素化エチレン分解コンソーシアムと、芳香族炭化水素を優先的に分解するコンソーシアムの2種類を用いた。 上記2種類のコンソーシアムを用い、塩素化エチレン類あるいは芳香族炭化水素類を添加し、定期的に添加物質とその分解生成物の分析を行って、その経時変化を追跡した。分解過程の中間生成物類を出発物質として同様の実験を行い、同様に経時変化を調べた。これらの過程で定期的に培養液を採取し、DNAを抽出し、PCR-RFLP法によりコンソーシアムの概要を把握し、合わせて16SrRNA遺伝子クローンライブラリーを作製し、得られたクローンの塩基配列の解析を行い、有害物質分解過程における優占種の推移を調べた。その結果、塩素化エチレン分解コンソーシアムでは、Clostridium属細菌が培養初期に優占種となり、その後Methanosarcina 属のメタン生成細菌と脱塩素細菌であるDehalococcoides が脱塩素の進行に伴ってほぼ同時に増殖していくこと、Dehalococcoides の増殖にMethanosarcinaが生産する物質が関与することなどが示された。芳香族炭化水素分解コンソーシアムではBurkholderia属が培養初期に優占種となって芳香族炭化水素を分解すること、その分解生成物をCupriavidus属が分解している可能性が高いことなどが示された。また、芳香族炭化水素分解コンソーシアムを用い、土壌培地中での分解実験を行い、水系の場合との比較を行なったところ、ほぼ同等の分解挙動と微生物挙動が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響で微生物培養設備やDNAシーケンサー、GC-ECD等の分析装置の復旧に時間を要したため、実験の開始が4ヶ月程度遅れてしまい、当初計画より研究の進行に若干の遅れが生じ、集積培養サンプルの全ゲノム解析が未実施となっている。現在研究は順調に進行しており、24年度は当初計画通りの進捗が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、微生物コンソーシアムによる汚染物質分解経路の解析、有害物質分解酵素遺伝子クローンライブラリーの作製と解析、リアルタイムPCRによる分解酵素遺伝子の詳細解析、土壌培養系からの遺伝子抽出とその解析、次世代シーケンサーによるメタゲノム解析を中心に検討を進める。
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