研究課題
本研究ではバイオレメディエーションの適用範囲を拡大するために、微生物コンソーシアムが実汚染土壌中で対象汚染物質の分解能力を安定的に発現させるために必要な要因を解明することを目的とした。研究にはメタン生成細菌が共生する塩素化エチレン分解コンソーシアム、芳香族炭化水素を優先的に分解するコンソーシアムに加え、前年度得られたPAH分解能力の高いコンソーシアムをを用い、出発物質および中間生成物濃度の経時変化のデータから、速度論モデルを用いて液体培地における汚染物質分解反応経路の詳細を明らかにした。リアルタイムPCRを用い、有害物質分解酵素遺伝子発現発現量を解析した。また土壌培養系からDNAを抽出し、16SrRNA遺伝子のクローン量のライブラリーを作製し、液体培地での結果との比較を行い、両者で構成微生物種には大きな違いのないことを示した。液体培養系から抽出したDNA試料について次世代シーケンサーによるメタゲノム解析を行い、構成微生物種の概要を明らかにした。芳香族炭化水素分解では、PAH分解能力の高いコンソーシアムから単離した芳香族炭化水素の優先的分解を担っているAzospirillum属細菌T7c株の全ゲノム解析を行った結果、全遺伝子の3.5%が芳香族分解に関係する遺伝子であり、そのうち4つの遺伝子が多環芳香族の最初の攻撃に関する遺伝子、7つの遺伝子がカテコールの分解に関与する遺伝子であることなどが判明した。これまでの結果から、さまざまな微生物が共存する系で対象汚染物質の分解が効率よく進行する際には、数種類の微生物の共生関係が成立しており、実汚染サイトでのバイオレメディエーションを構築する上で重要な知見が示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Environmental Science and Health, Part A: Toxic/Hazardous Substances and Environmental Engineering
巻: 48 ページ: 835-846
10.1080/10934529.2013.761476