研究課題/領域番号 |
23246156
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
尾原 祐三 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (50135315)
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研究分担者 |
大谷 順 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30203821)
椋木 俊文 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (30423651)
佐藤 晃 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40305008)
山田 文彦 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60264280)
麻植 久史 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (70462843)
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研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | ジオマテリアル / X線CT / 可視化 / 非破壊試験 |
研究概要 |
申請者らは,現有の産業用X線CTスキャナーとマイクロフォーカスX線CTスキャナーを用いて,これまでに岩質材料,地盤材料などのジオマテリアルに対する非破壊試験法を開発し,ジオマテリアルの構造や内部で起こっている現象の解明を行ってきた。本研究では,X線CTを用いた非破壊試験法の高精度・高機能化および可視化技術・画像解析技術の高度化を行うとともに,国内だけでなく海外で行われているX線CTを用いた非破壊試験を総合・分析・体系化を目的として研究を実施した。 具体的には,マクロからミクロまでのスケールにおけるジオマテリアルの三次元構造(3D)および内部で発生している過渡現象(三次元と時間:4D)の解明研究を実施してきた。き裂の可視化と定量に関する研究では,岩石破壊力学において重要な引張型(モードI)のき裂進展および応力拡大係数の評価に対し,岩石の異方性ならびに岩石試料の寸法効果の影響について考察した。 放射性廃棄物の地層処分の際に用いられる人工バリアとしてのベントナイトの浸透現象の解明では,膨潤過程におけるベントナイトの経時変化をX線CTで明らかにし,さらに,密度の変化と透水特性との関係を明らかにした。特に,本年度は封圧下ならびに開放下の両方について膨潤後の透水特性を評価したが,いずれの場合も十分な遮水能力が発揮されることを明らかにした。 超臨界CO2が注入された際の岩石内で発生する移流拡散・分散現象の解明を目指した研究では,水で飽和した岩質材料中への移流に関しては,密度変化が非常に小さいためにX線CTでは可視化が困難であることが分かった。そのため,X線CT画像データからこのわずかな変化量を抽出する新たなヒストグラム差分法を開発し,空隙内でのCO2の情報を取り出すことに成功した。さらに,空隙内でCO2が存在する形態についても可視化・分析することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この10年間であまり行われていないX線CTを用いた非破壊試験と最近の地球資源システム工学と地盤環境システム工学の研究課題で重要な解明すべき課題に対し,基本的試験法および測定法の高機能化に焦点を絞り,適切な分担を設けて試験を行う。すなわち,水圧破砕試験,岩質材料せん断試験,岩質材料透水試験,地盤材料透水試験,ベントナイト浸透試験などを実施し,「き裂再開口時のき裂の可視化と定量」,「せん断破壊面の可視化と変位場評価方法の高度化」,「干潟底質泥内部の密度構造分布の可視化と定量」,「ベントナイトの浸透現象の可視化と定量」,「岩石材料の移流拡散・分散現象の可視化と定量」,「高温・載荷環境における遮水互層構造の変形・浸透現象の可視化と定量」に取り組み,非破壊試験法の高度化を達成するとともに,ジオマテリアル構造や内部の過渡現象の解明について研究を実施した。その結果,各研究テーマともに当初予定していた通りの成果が得られており,概ね順調に研究が進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
マクロからミクロまでのスケールにおけるジオマテリアルの三次元構造(3D)および内部で発生している過渡現象(三次元と時間:4D)の解明研究として,「き裂再開口時のき裂の可視化と定量」,「せん断破壊面の可視化と変位場評価方法の高度化」,「干潟底質泥内部の密度構造分布の可視化と定量」,「ベントナイトの浸透現象の可視化と定量」,「岩石材料の移流拡散・分散現象の可視化と定量」,「高温・載荷環境における遮水互層構造の変形・浸透現象の可視化と定量」サブテーマについて研究を実施してきたが,これまでの2年間でおおよそそれぞれの目標の基礎を固めることができた。今後は,当初の研究計画(Plan: P)および実施した(Do: D)研究成果の発表を行い,内容を確認(Check: C)するともに,修正や新しい試験法の提案などの議論を行い,次年度の研究計画を作成してそれを実行(Action: A)していく。 また,平成26年度内には世界の出版社であるエルゼビアからの出版を目標に執筆に入り,原稿を取りまとめる。この間に,研究協力者(執筆者)が集まる機会を設け,情報交換を行う予定である。なお,申請者らは現在熊本大学の「X線CT法の工学的応用に関する研究教育拠点」研究プロジェクトを推進しており,その中で1年に1度の予定で開催する国際集会に研究協力者を招聘するので,その機会にハンドブックに関する情報交換や内容についての議論を行う。
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