研究課題/領域番号 |
23246159
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
橋爪 秀利 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80198663)
|
研究分担者 |
江原 真司 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30325485)
遊佐 訓孝 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60466779)
伊藤 悟 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60422078)
|
キーワード | プラズマ・核融合 / 超伝導材料・素子 |
研究概要 |
本研究の目的は、分割型高温超伝導マグネットの実現性を示すために、普遍的接合技術を創成し、マグネット分割の基本概念を実証することである。以下、具体的な目的を示す。 (1)接合部最適化(荷重方向・接合面被覆等)による電気的接合性能向上方法を確立する。 (2)接合界面での超伝導物理モデルを検討し、線材に依存しない普遍的な接合技術を確立する。 (3)多孔質体の除熱性能評価実験と数値解析コード高度化による除熱システムの最適化を行う。 (4)冷却チャンネルも含めた4kA級の接合部を作製し、本概念を実証する。 本年度は上記、目的を達成するために、以下の項目を実施した。 1)高温超伝導導体の機械的接合法の開発 接合面の角度、荷重条件、導体構造に対する接合性能向上の系統的な実験・数値解析を行い、接合抵抗が目標値より小さくなる条件を見出すこと、接合面上に真空蒸着装置により均質な金属薄膜を形成する(接合抵抗低減策の1つ)条件を明らかにすることを目標とした。数値解析によって接合抵抗低減が可能な接合面角度、導体構造を明らかにし、接合試験によってこれを実証した。荷重条件の選定・金属薄膜形成条件の検討については装置整備が年度末までかかってしまったため、来年度以降に実施する予定である。 2)多孔質体を用いた先進冷却システムの開発 本年度は、多孔質体を用いたLN2流動試験装置の整備(所持していた装置の真空断熱化)、多孔質体内部伝熱流動解析コードの改良(冷媒を水として開発済みのものをLN2が取り扱えるように変更)を目標とした。LN2流動試験装置については、真空断熱工事が年度内に完了し、次年度以降の実験体制を構築することができた。また、解析コードについては、支配方程式の離散化方法を見直すことで、LN2を用いた場合に想定される急激な相変化を伴う熱流動場の解析を一部可能とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は高温超伝導導体の機械的接合法の開発に関して、荷重条件の選定・金属薄膜形成条件の検討を行う予定であったが、装置整備・装置納品が年度末までかかってしまったため、来年度以降に実施する予定となった。その他、実施項目に関してはおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
高温超伝導導体の機械的接合法の開発については、本年度整備した複数方向荷重試験装置、および真空蒸着装置を用いて、荷重条件最適化、金属薄膜の適用による接合性能低減方法を実験および数値解析によって検討する。また、本年度に解明した接合面角度、導体構造の最適化による接合抵抗低減を、より大型の導体(印加電流2kA以上)を用いて実証する。 多孔質体を用いた先進冷却システムの開発については、本年度整備したLN2流動試験装置を用いて、LN2のサブクール度、金属多孔質体の材質・粒子径・気孔率、伝熱面と多孔質体の界面の状態をパラメータとして流動特性および伝熱特性を取得する。また、実験データを数値解析コードの参照データとして用いて、数値解析コードの高度化を図る。あわせて、分割型マグネットをモデル化して、伝熱解析を行い、冷却システムが成立する条件を検討する。
|