研究分担者 |
大矢 恭久 静岡大学, 理学部, 准教授 (80334291)
落合 謙太郎 日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (30370373)
谷川 尚 日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (70370426)
小田 卓司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40436556)
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研究概要 |
本研究の目的は,現状で最も実現性が高いペブル充填式の固体増殖ブランケットを対象に,核融合炉環境下に置かれた際に想定される長期的な特性変化を明らかにし,信頼性の高いブランケット設計を行う上で必要な学術基盤を拡充することである.特に,固体増殖材料ペブルの(1)長期の物理的・化学的特性変化と,(2)長期の照射損傷過程に注目し,実験と計算機シミュレーションを組み合わせてその理解とモデル化を試みる. (1)については,日本原子力研究開発機構の協力の下でX線CT-ラマン分光の同時計測が可能な装置を設計し,東京大学に整備した.模擬材料としてセラミックスペブル球を利用して,充填構造のCT試験を実施した.また,育成したLi2TiO3単結晶試料を利用して,プロトン交換処理を施すことでLi燃焼を模擬する試料を作成し,X線回折およびラマン分光実験によりその結晶構造および化学状態の分析を行った.プロトン交換の進行により,アナターゼ型TiO2に近い結合状態を持つ結晶が生成されることが確認された.Li2TiO3等のLiセラミックス単結晶試料を用いた水素同位体放出実験では,十分にキャラクタライズした原材料を用いて焼結材料を作ることで,水素同位体の放出挙動と材料の物理構造(結晶粒の大きさ,理論密度,比表面積など)との相関を整理した.計算では,分子動力学シミュレーションによる予備的な計算を行い,実験で報告されているLi2TiO3の相転位挙動が再現できることを確認した. (2)については,計算ではLiAlO2およびLi2TiO3を対象として分子動力学法による弾き出しシミュレーションを実施し,弾き出しの閾値エネルギーの評価を進めた.また,Li燃焼を想定したLi欠陥を含む結晶材料の高温における結晶構造分析や,熱膨張挙動の評価,欠陥生成エネルギーの評価等を実施した.並行して,これらの計算結果検証用の実験データを取得するために,静岡大学と共同して紫外可視吸収分光装置を整備した.
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今後の研究の推進方策 |
H23年度に利用できなかった中性子照射施設についてはH24年度中の利用の目処が立っており,実験については研究遂行上の大きな問題はない.計算については,H23年度末に主担当の分担者の異動があったが,共同研究を実施することで対応し,計画通りに研究を展開できる予定である.
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