研究課題/領域番号 |
23246163
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
矢木 雅敏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門六ヶ所核融合研究所, 研究主幹 (70274537)
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研究分担者 |
内藤 裕志 山口大学, 理工学研究科, 教授 (10126881)
福山 淳 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60116499)
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研究期間 (年度) |
2011-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | ディスラプション / 逃走電子 / ITER / IFERC-CSC / ミチゲーション |
研究概要 |
ITERを念頭においたディスラプション物理の研究として、主プラズマの熱クエンチ以降の諸現象をつじつまのあった形で取り扱うことのできる統合シミュレーションの研究をすすめている。今年度は要素コードの高度化および要素間インタフェースの開発が進展し、以下の成果を得た。 (1)ディスラプションフェイズ:電流駆動型巨視的不安定性に対する簡約化MHDコードのベンチマークを行うとともに、新たに周辺プラズマからの不純物流入を模擬するための放射損失項モデルを実装した。開発したコードにより、周辺の放射冷却に伴う不安定性励起により、中心プラズマ温度がクラッシュする現象が観測できた。詳細な物理機構の解析を次年度に実施する予定である。加えて、簡約化MHDコードで評価した磁場揺動スペクトルを逃走電子コードで読み込むためのモジュールを開発した。 (2)逃走電子生成フェイズ:相対論的電子軌道追跡コードETC-Relコードに逃走電子のドライサー発生および近接衝突による雪崩的増倍のモデルを実装し、逃走電子発生と発生後の3次元軌道解析を組み合わせたシミュレーションコードを世界ではじめて開発し、ITERディスラプションにおける壁損傷予測に適用する見通しを得た。加えて、モデル磁場を用いた理論解析により、巨視的モードに対する逃走電子軌道のドリフト共鳴の影響が軌道損失のエネルギー依存性に重要な役割を果たすことを見出した。 (3)ポストディスラプションフェイズ:コイル系および抵抗壁とプラズマの電磁的結合を考慮するための軸対称渦電流コードを開発した。 (4)インタフェース開発:要素コード間の統合のため、軸対称平衡コードをベースとしたコード間のインタフェースを開発した。開発したコードをジャイロ運動論シミュレーションに応用することで、GKVコードによる実形状トカマクの乱流輸送解析が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各要素コードの整備が順調に進んでおり、特に今年度は、簡約化MHDコードによる熱クエンチシミュレーション、粒子コードによる逃走電子発生シミュレーションなど、壁への熱負荷や逃走電子発生などの課題解決に応用可能なシミュレーションコードを開発し、成果を得た。統合シミュレーションに向けて、これらの高度化された要素コードを結合するための数値スキームおよびインタフェース開発の開発をすすめており、この取り組みをさらに加速していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度であることから、開発してきた要素コードの統合化、特に、世界的にも例のない、逃走電子発生とMHD現象を結合させた統合シミュレーションコードの実現に注力する。このために、これまで開発してきた擬スペクトル法に基づく高精度簡約化MHDコードに加え、低次モードのみに解析対象を絞ったスペクトル法に基づく比較的高速な簡約化MHDコードの導入により、パラメータサーベイやコード開発を効率化する。これらの拡張MHDシミュレーションと並行して、実験的なパラメータ領域や運転シナリオとの対応を明確化するため、トカマク統合コードTASKを用いたディスラプション制御のシミュレーション研究を実施する。
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