研究課題
本年度はビーム放射分光システムを使いビーム放射分光システムで実際の計測を行った。空間分解能は約1 c m でプラズマの径方向1 m、ポロイダル方向で15 cm 程度のプラズマの密度揺動のイメージが得られた。従来のビーム放射分光システムとは異なり、本研究では観測領域をスリット状にして、(横スリット状の場合:径方向の波に対する感度が減少、ポロイダル方向の波に対する感度が向上、縦スリット状の場合:ポロイダル方向の波に対する感度が減少、径方向の波に対する感度が向上する)計測を行うことを目的にシステムが設計されている。八木アンテナで電場受信の指向性と感度が向上するのと同様に、多段のスリット状に観測点を配置する事で、径方向又はポロイダル方向の「指向性」をあげた密度揺動計測をすることができた。ビーム放射分光システムは波長の短い乱流揺動の計測に用いられることが多いが、ヘリカルプラズマではそのヘリカル形状故に視線方向の積分効果が大きく短波長の密度揺動が観測できない。そこで、周波数を下げて長波長の密度揺動に焦点をしぼって計測を行った。本サイクルの実験においてビームのオン・オフモジュレーションに伴い、ビーム放射光のみが正確に検出されているかを確かめた。ビーム入射のタイミングの信号を取り出して解析を行った。まずフーリエ解析を行ったところ、高周波数成分が計測限界以下になっている事が解った。次に、磁気プローブの信号をリファレンスとして、時空間相関を取った結果1.5kHzと3kHzの揺動に時空間相関が観測された。ポロイダル方向にはE×B回転に伴う揺動の伝搬が観測されているが、径方向には顕著な伝搬が観測されていない。また磁気プローブの振動と強い相関がある等の点から、この揺動は周辺高調波振動(Edge Harmonic Oscillation :EHO)である事が検証された。
1: 当初の計画以上に進展している
指向性をもつビーム放射分光法をLHDプラズマの密度揺動計測に応用し、周辺高調波振動(Edge Harmonic Oscillation :EHO)の検出に成功した。目的である密度揺動の二次元空間構造の観測を行う事ができた。この成果をもとに、大学院生が修士論文をまとめる等、その成果を発表できる段階に来ている。4年目の終了時において、ヘリカルプラズマでは困難と思われていたビーム放射分光法により密度揺動の二次元空間構造を明らかにできたことは、当初の計画以上に進展していると評価できる。
指向性をもつビーム放射分光法によるLHDプラズマの密度揺動計測を継続して行うとともに、すでに得られた成果については、積極的に国際会議での発表を行い、研究成果の公表につとめる。また論文の執筆も進める。本年度は最終年度であるので、成果の国際的発信を行う為に国際会議への参加を精力的に行う予定である。
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New Journal of Physics
巻: 15 ページ: 013061
10.1088/1367-2630/15/1/013061
Phys. Rev. Lett.
巻: 111 ページ: 055001
10.1103/PhysRevLett.111.055001