研究課題/領域番号 |
23246165
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
村上 泉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30290919)
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研究分担者 |
坂上 裕之 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40250112)
後藤 基志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00290916)
鈴木 千尋 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30321615)
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (50361837)
田沼 肇 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授
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キーワード | タングステン / 原子データ / 分光計測 / スパッタリング / EBIT / 衝突輻射モデル / 不純物分布 / 原子構造計算 |
研究概要 |
タングステンィオンのプラズマ中の挙動と蓄積を分光計測手法で調べるために、サブタスクごとに研究を推進した。EBIT分光実験では、小型多価イオン源CoBITを用いた可視友び極端紫外(EUV)領域での低価数タングステンイオンの来同定ラインの観測と同定塗進め、Tokyo・EBITでは、44価と45価イオンの4s-4p遷移強度比の電子エネルギー依存性を調べて理論モデルと比較した。また、ECRイオン源で4価~27価のWイオンビーム生成に成功し、電荷交換分光実験を24年度に開始する準備が整った。 原子過程理論計算では、GRASPコードを用いて27価と26価イオンの原子構造の詳細計算を行い、CoBITで計湖した26価可視禁制線の同定を行った。HULIACコードを用いて20価から43価まで原子素過程データの計算を行い、分光モデルを構築した。一方、電子温度・密度を与えたときのイオン分布、放射損失量を計算する衝突輻射モデルも構築した。 スパッタリング実験では、タングステン標的にKr+イオンビームを照射し、スパッタされたタングステンからの可視発光線を計測して運動量を評価した。プラズマ実験では、大型ヘリカル装置(LHD)にタングステンペレットを入射し、EUVおよび可視嶺域の分光計測を行い、電子温度変化に伴う5nm付近のスペクトル形状の変化や、16-22nmの擬似連続光も計測した。また、26価の可視禁制線の計測にも成功した。プラズマ中のタングステンイオンの空間分布を計測するために、高時間分解計測が可能なCCD検出器を整備し、既存のEUV斜入射分光器に設置した。LHDプラズマで41価~44価イオンの発光線強度の空間分布を得ることができた。既存の不純物輸送コードを用いて解析を試みたが、実験結果の再現には現実よりも高い電子温度が必要となり、既存の電離・再結合速度係数の再評価が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タングステン原子データ整備及び分光モデル構築はおおむね順調に進展している。大型ヘリカル装置での空間分布計測も可能となり、24年度には他の分光計測装置と共にデータが取得できる予定となっている。スパッタリング実験では運動量評価は出来るようになったが、インフラックス評価は検討が必要で、24年度の課題である。電荷交換分光実験は、イオンビーム生成に成功し、実験準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
24年度はタングステン原子データ整備と分光モデル構築を更に進めて、分光計測データ解析に用いることができるように整備する。EBIT分光実験で得られたスペクトルを使ってモデルの検証を行う。大型ヘリカル装置での視線上に電子温度・密度に分布がある場合の解析方法を確立させる。不純物輸送コードは、既存コードの問題点が明らかになったため、24年度は電離・再結合速度係数の評価を行い改良を目指す。電荷交換実験を開始し、分光データの取得を目指す。スパッタリング実験での運動量及びインフラックス評価について理論面から検討を進め、実験データの解析や比較検討を目指す。
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