研究課題/領域番号 |
23246165
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
村上 泉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30290919)
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研究分担者 |
後藤 基志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00290916)
佐々木 明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10215709)
田沼 肇 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30244411)
鈴木 千尋 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30321615)
坂上 裕之 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40250112)
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (50361837)
加藤 太治 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (60370136)
小池 文博 北里大学, 医学部, 准教授 (90095505)
仲野 友英 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (50354593)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プラズマ・核融合 / 原子・分子物理 / 分光計測 / 不純物挙動 / タングステン / プラズマ原子過程 |
研究概要 |
タングステンイオンのプラズマ中の挙動と蓄積を分光計測手法で調べるために、前年度に引き続きサブタスクごとに研究を推進した。 EBIT分光実験では、可視及び極端紫外(EUV)領域での8~33価Wイオンの観測と同定を進めた。ECRイオン源を用いた低価数Wイオンの電荷交換分光実験を行いEUV分光計測を行った。 理論計算では、HULLACコードを用いて20価から55価まで原子素過程データの計算を行い、分光モデルを構築し、また、FACコードで計算した原子素過程データを用いた14価から71価の分光モデルを構築し、大型ヘリカル装置(LHD)およびJT-60U装置によるプラズマ実験で得られたタングステンイオンスペクトルとの比較を行った。さらに、電離平衡時のイオン密度分布および放射損失量を計算する電離モデルを構築し、0.1~5keVの電子温度に対して計算を行った。 スパッタリング実験では、タングステン標的にKr+およびAr+イオンビームを照射し、スパッタされたタングステンからの可視発光線を計測して運動量を評価し、発光線による違いを発見した。 プラズマ実験では、EUVおよび可視領域の分光計測を行い、広い波長領域に対する分光データを得た。分光モデルによる計算との比較から、広い価数分布を仮定しなければスペクトルの再現が難しいことが分かった。またEUVでの発光線強度の空間分布計測も行い、45価の分布に対して既存の不純物輸送コードを用いた解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中~高価数のタングステンイオンについては原子素過程データの整備および分光モデル構築ができた。さらに電離モデルも構築でき、分光計測データの解析や不純物挙動を調べるための輸送モデル構築のための準備ができた。電子数が多い低価数タングステンイオンについては、エネルギーレベル数が膨大となり、原子素過程データの整備および分光モデルの構築が進んでいない。特に本研究に用いているHULLACコードは低価数イオンの計算精度が低く、他のコードによる原子素過程データの整備を検討する必要がある。 プラズマ分光計測では、さまざまなプラズマ条件で、広い波長域での分光データが取得、蓄積されてきた。EBITやECRイオン源を利用した実験での分光データもそろってきており、分光モデルの検証も進められている。 スパッタリング実験では、運動量評価は順調に進んでいるが、イールドの算定方法などの検討、理論による物理的考察を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、広い価数領域および波長域におけるEBITおよびECRイオン源を用いた分光計測を行い、分光データを整備するとともに、中~高価数タングステンイオンの分光モデルの検証を更に進める。LHD実験でも様々なプラズマ条件で多波長分光計測・空間分光計測を行い、分光データを蓄積する。 理論研究では、低価数タングステンイオンの原子素過程データの整備方法について検討し、データ生産の方法を確定、データをそろえ、分光モデルの構築を目指す。中~高価数イオンについては、不純物輸送コードに分光モデル・電離モデルを組み合わせた統合不純物輸送コードを構築し、LHD実験で得られた分光データの解析に適用し、プラズマ中のタングステン挙動について研究を進める。 スパッタリング実験では、角度分布の計測と、運動量およびインフラックス計測の理論による裏付けを行い、スパッタリングによるプラズマへの放出過程を明らかにする。 以上の研究を統合し、タングステンのスパッタリングによる発生からプラズマ中での挙動まで、分光計測を活用した研究手法を確立し、プラズマ条件とタングステン挙動の関係など、不純物制御へ向けた挙動研究の基盤を確立する。
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