研究課題
動植物の生体中の鉄などの金属元素は発育などに強く関与しており、それらの細胞中での動きが観察できれば、細胞レベルで且つ分子化学・遺伝子学的に解明できることが期待される。本研究では数ミクロンの空間分解能で検出が可能な数keVのX線を放出する核種をトレーサーとして、ピンホールカメラの原理およびX線CCDカメラを組み合わせた高空間分解能のミクロンRIイメージングシステムを開発する。平成25年度においては、開発の第2段階(前期)として以下の技術開発を行った。1)ピンホール金属膜の微小3次元駆動システムの開発:RIの三次元イメージングを達成するには、複数方向から画像を取得する必要がある。そこで、X線CCDカメラの受光面側にピンホール金属板をCCDカメラの受光面に水平に微小移動できる駆動ステージを製作し、ピンホール金属膜とCCDカメラの受光面との距離を微小変化できるように3次元駆動が可能な構造とした。 2)深度情報解析アルゴリズムの開発:ピンホールから得られる画像は2次元画像である。鉄55の3次元分布を得るためには、深度方向の分布の情報を得る必要がある。そこで、ピンホールの位置を平行にずらして撮像し、丁度、両眼でものを見るような条件で測定し、これを解析することにより深度方向の分布を得る方法を考案した。これは、当初、考えていたML法を用いる方法より、はるかに簡単な方法である。3)ミクロンRI三次元イメージングシステムの製作と鉄55点線源による性能評価:微小3次元駆動システム、X線CCDカメラ、ピンホール金属膜及び全装置を制御するシステムの開発し、ミクロンRI三次元システムを製作した。鉄55の点線源によるRI三次元イメージングを行い、3次元画像を得ることに成功した。また、上記の研究に加えて、植物中の元素分析に関する研究を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、RI3次元イメージングシステムを構築できた。線源の強度からミクロン径の分解能までに達成していないが概ねシステムは出来上がり、その3次元分布撮像機能も確認できた。
26年度は、実際に植物に鉄55を吸収させ、植物の内部での鉄55の観察を実施する。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B
巻: 318 ページ: 105-108
巻: 318 ページ: 191-193
巻: 掲載確定 ページ: 掲載確定