研究課題/領域番号 |
23246168
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
勝村 庸介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70111466)
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研究分担者 |
工藤 久明 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00334318)
室屋 裕佐 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40334320)
林 銘章 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (50465994)
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キーワード | 水化学 / 水の放射線分解 / パルスラジオリシス / モンテカルロ計算 / 水和電子 / OHラジカル / スパー反応 / 超臨界水 |
研究概要 |
本研究は、(1) 放射線反応のダイナミックな反応過程の観測、(2) 水素臨界濃度の機構解明、(3) 10B(n,α)7Li による高温水分解評価、の三つの柱で進めており、それぞれについて進捗を報告する。 (1) の課題では、観測に困難が伴う OH ラジカルのピコ秒時間領域の挙動を測定し、従来値の再評価を行い、信頼性の高い値を求めた。OHラジカルの吸収は300 nm 以下の紫外領域に存在し、実験で使用する石英セル、水和電子の吸収の裾野が重畳するため、これらを精度よく求めて補正することにより、室温での信頼性の高いG値を求めた。 また、水和電子のピコ秒挙動の実験データをモンテカルロ計算と比較し、高温で重要となるスパー反応を評価した。超臨界水中での水和電子収量が水の密度に大きく依存することも再確認した。これらは論文として発表した。 (2) の水素添加効果による水分解の抑制については、FACSIMILEを用いたシミュレーションでその機構を明らかにすることができた。これは幾つかの学会で報告した。現在、論文としてまとめ、投稿を予定している。 (3) では、当初、JAEAの研究炉を用いた実験を想定していた。東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故の影響で再稼働の見込みがない。そこで、理論的なモンテカルロ計算でのアプローチを進めている。計算結果は出ているものの、この値がこれまでの報告を良く説明できるかの検証を進めている。まだ、十分といえるような値にはなっていない。また、PWR での水化学計算も進めている。どこまで、水素濃度を抑えた運転が可能かについてのシミュレーョンも進めており、色々な特徴を見い出し、最終段階を迎えている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三つの柱のうち (3) 10B(n,α)7Li による高温水分解評価、については実験が困難であることから理論計算に切り替えた。計算自身は進展しているものの、その信頼性評価について幾つかの問題に直面しており、苦しんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
モンテカルロ計算をさらに進展させて、信頼性の高いものを導出することで本研究の重要な柱を達成する。ピコ秒パルスラジオリシスシステムを新しいものに更新中で、新システムでの効率の高い実験を進めたい。
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