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2012 年度 実績報告書

MA-MOX燃料中のヘリウム挙動の計算科学的手法による解明と体欠陥形成制御

研究課題

研究課題/領域番号 23246174
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

芹澤 弘幸  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (90355008)

研究分担者 山中 伸介  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00166753)
中島 邦久  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (00355009)
鈴木 通人  独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究員 (10596547)
大石 佑治  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20571558)
岩井 孝  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (30355010)
中村 博樹  独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究員 (40350483)
高野 公秀  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (40501367)
町田 昌彦  独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (60360434)
芳賀 芳範  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90354901)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードネガティブクリスタル / イメージクリスタル / ガスバブル / 表面自由エネルギー / 第一原理計算 / ヘリウム / 薄膜 / 焼結
研究概要

1. 粒内バブル形成過程のシミュレーション:核燃料の物性を計算科学で明らかにする準備として第一原理分子動力学の可能性を探索した。その結果、強相関効果及びスピン-軌道相互作用を取り入れた第一原理分子動力学が原理的に可能であると判明した。第一原理計算から原子間ポテンシャルを求める手法を整備し、CeO2に対する試験を実施しパラメータの調整を行った。
2. 燃料ペレット焼結性の改善:CeO2等のコールド試料による熱膨張計の昇温試験を実施し、25年度に焼結試験に使用する(Pu,Cm)O2試料の調製に着手した。
3. 新機能材料の創生:これまで粉末、多結晶焼結体を用いたヘリウム注入試験を繰り返してきたが、今年度は燃料電池等に使用されるCeO2薄膜に注目し、イオン注入法を用いてヘリウムの注入してガスバブルを形成させる試験を実施した。従来CeO2酸化物単結晶を製造することは難しく、同単結晶を用いた研究成果の報告はほとんどない。しかしながら薄膜はほぼ単結晶とみなすことができるため、CeO2単結晶中にガスバブルを形成するだけでも新たな試みと言える。試験の結果、薄膜としての性能を担保しながらガスバブルを発生させる条件が、イオン注入後のアニール時の昇温速度であることが判明した。昇温にともなってヘリウムは析出してガスバブルを形成するが、昇温速度が速すぎると急速なガスバブル成長と内圧の上昇のためにブリスタが形成され、被膜表面が破壊されてしまう。イオン注入量とアニール条件をコントロールすることによって、破損を抑制しつつガスバブルを成長させることが可能となった。また、一部の試料では、すでにネガティブクリスタルが形成されていることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.粒内バブル形成過程のシミュレーション
第一原理計算を用いた表面エネルギーの評価は、計算量が多いためいまだ最終的な成果には結びついていないものの、予想された範囲内の遅れである。自由エネルギーの評価は遅れているのの、実験的手法によるネガティブクリスタル成長過程の三次元的解析を並行して進め、十分な進捗を得ている。現在論文を投稿中であり、それだけでも当初の目標を達成したといえるほどのインパクトのある成果を得るにいたっている。
2. 燃料ペレット焼結性の改善
燃料の焼結挙動に対するヘリウム析出試験を実施する予定で装置の準備をしているが、装置をグローブボックス内に設置するための許認可取得が遅れているため、今年度は試験を実施することができなかった。これは、原子力規制庁設置の遅れに伴い、許認可申請受付業務が停止してしまったためである。本装置の本格的な運転は、平成25年度秋と予想されている。
3. 新機能材料の創生
成膜条件の最適化がすすんだため、安定した試験が実施できるようになった。このため、注入エネルギーとアニール温度及び昇温速度をパラメータとした試験を進めることができるようになった。また、JAEAのFE-SEMやが本格的に使用できるようになったため、薄膜試料中のガスバブル観察も迅速に実施できた。ネガティブクリスタル形成にはもう少し時間が必要かと考えていたが、空気中でアニールした試料の破面を観察したところ、その形成を確認した。今年度得られた成果をもとに、さらに試験を進めれば、ネガティブクリスタルを意図的にいれるた薄膜を製造することが可能になり、その物性評価がすすめば新たな機能性薄膜創生が可能であると考えられる。

今後の研究の推進方策

1.粒内バブル形成過程のシミュレーション:UO2及びCeO2の表面自由エネルギーの評価をすすめ、実験で得られているデータと照合し、ネガティブクリスタルの内圧がどの程度であったかを定量的に評価する方向で研究を進める。また、今年度得られたネガティブクリスタルの成長過程に関する成果については、学術雑誌への投稿等あらゆる手段を用いて発表し、この分野における我が国の優位性をアピールする。
2. 燃料ペレット焼結性の改善:許認可作業が終了し次第装置をグローブボックス内に装置を移設し、MA含有燃料を用いた試験を実施する。また、HIPを用いてヘリウムを注入したUO2粉末からのヘリウム放出挙動を高温質量分析器を用いて調べ、その結果と焼結挙動の実験データとの相関性について検討する。
3. 新機能材料の創生:CeO2薄膜にネガティブクリスタルを発生させる条件を絞り込む。本研究の成果をもとに、このテーマを機能性薄膜の拝発へとつなげていきたいと考えている。このため、表面の破損を抑える必要があり、ブリスタの発生や破裂が生じない条件を模索する。
本研究は、すでに興味深い成果が得られている。この点をアピールしつつ、サイエンスのみならず、エンジニアリング的なセンスを導入した研究を展開し、研究に参画していただける研究社を国内外で集め、さらに大きな研究者集団を形成し、新たな機能材料開発に向けた研究を推進する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 酸化物燃料におけるヘリウムバブル形成機構についての一考察2013

    • 著者名/発表者名
      松永純治
    • 学会等名
      日本原子力学会
    • 発表場所
      近畿大学
    • 年月日
      20130326-20130328
  • [学会発表] Study on formation of helium bubbles in CeO2-x2012

    • 著者名/発表者名
      J. Matsunaga
    • 学会等名
      NUMAT2012
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      20121022-20121025
  • [学会発表] 二酸化ウラン中のネガティブクリスタルが拓く新しい科学2012

    • 著者名/発表者名
      芹澤弘幸
    • 学会等名
      第7回高崎量子応用研究シンポジウム
    • 発表場所
      高崎シティーギャラリー
    • 年月日
      20121011-20121012
    • 招待講演
  • [学会発表] ヘリウム吸蔵UO2 の気泡スエリング2012

    • 著者名/発表者名
      松永純治
    • 学会等名
      日本原子力学会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      20120919-20120921

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公開日: 2014-07-24  

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