植物細胞の微小管パターン自体がどのように形成されるのか、よくわかっていない。本研究では、試験管内での微小管パターンの再構築系の開発を最終目標として、微小管重合核複合体の新規調節因子の同定と重合活性能を保持した微小管重合核複合体の単離・精製を行う。 本年度は、アラビドプシス培養細胞から精製した微小管結合性タンパク質画分から見出された新規タンパク質をGFPに融合し、植物細胞で一過的に発現させる実験手法により、微小管重合核に付随する新規因子Msd1を同定した。アラビドプシスではMsd1aとMsd1bの2つの相同性の高いタンパク質をもち、どちらも微小管重合開始点に局在する。微小管結合活性があることから、微小管上に重合核複合体を局在させ、その場所で娘微小管を開始するのに寄与している因子であると推定される。アラビドプシスのmsd1a msd1b二重変異株は顕著な細胞分裂と細胞伸長の表現形を示さないが、現在、変異株における微小管重合様式を詳細に解析している。 Msd1に結合するタンパク質をアラビドプシス植物体から精製したところ、WDR8というタンパク質が同定された。カビのMsd1ホモログはカビのMDR8ホモログと複合体を形成することが最近報告されていることから、植物においてもMsd1-MDR8複合体が微小管重合に係ることが推測される。MDR8-GFPをアラビドプシスで発現させると、微小管重合開始点を標識した。
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