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2011 年度 実績報告書

植物細胞内における小胞体の形態形成と機能分化

研究課題

研究課題/領域番号 23247009
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

新免 輝男  兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (80114510)

研究分担者 横田 悦雄  兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教 (80212299)
キーワード小胞体 / レティキュロン / RHD3 / GTP / ミオシン / シロイヌナズナ / アクチン / ビリン
研究概要

シロイヌナズナ培養細胞から調製した小胞体を用いて、in vitroチューブ形成におけるRHD3あるいはレティキュロン様タンパク質(AtRTN)に対する抗体の効果を調べた。RHD3のGTP結合部位あるいはAtRTNに対する抗体は、チューブ形成を阻害した。一方RHD3C端部に対する抗体では、阻害作用が認められなかった。これらの結果から、AtRTNとRHD3、特にそのGTP加水分解部位がチューブ形成に重要な役割を担っていることが明らかになった。そして、これらの抗体を用いた免疫染色法によって、培養細胞内における局在を解析した。その結果、AtRTNは核膜を除く小胞体と共局在していることが明らかになった。またいくつかのAtRTNにGFPを結合させた成分も、小胞体局在を示した。そしてRHD3も同様に、小胞体局在を示すことも明らかになった。
次に、小胞体とミオシンを含むS12画分を用いたチューブ再構成系によって、どのミオシンXIアイソフォームがチューブ伸長に関与しているのか解析したが、シロイヌナズナのS12画分ではATP、GTPとF-アクチンを添加しただけではチューブ形成は誘発されなかった。おもしろいことに、培養細胞から単離したアクチン繊維束化タンパク質ビリンを加えF-アクチンの束化を促進すると、ある程度チューブ形成が起ることがわかった。つまり、ミオシンXIが滑り運動を行う安定なレール、F-アクチン束が必要であることもチューブ伸長には重要であるといった新たな知見を得ることができた。
そして、分裂時おけるAtRTNやRHD3などの機能解析をめざして、シロイヌナズナ培養細胞の同調系の確立を試みた。タバコ培養細胞BY-2の同調法を参考にしていくつかの方法を試みたが、10%程度しか同調させることができなかった。しかし、上述したRHD3に対する抗体は、BY-2細胞のRHD3を認識すること、GFPを結合させたAtRTNもBY-2で発現し小胞体局在を示すことから、24年度以降の分裂時の機能解析はBY-2細胞を用いて行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小胞体チューブ形成におけるAtRTN、RHD3、特にそのGTP加水分解部位の関与を明らかにした。そしてこれらの結果も含め、連帯研究者である京都大・西村いくこ教授の研究グループとRHD3に関する論文をまとめることもでき、現在投稿準備中である。またミオシンの同定は未解決であるが、チューブ形成におけるアクチン束の重要性が明らかになり、新たな知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

研究計画通り推進していく予定である。しかし、分裂時における小胞体の機能分化の解析に関しては、今年度シロイヌナズナ培養細胞の同調系を確立することができなかった。来年度も引き続き確立を試みると同時に、既に同調系が確立し、研究実績の概要に記したように形質転換体の作製が容易なタバコ培養細砲BY-2を用いて、このテーマに関する研究を推進していく。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Studies on conjugation of Spirogyra using monoclonal culture2012

    • 著者名/発表者名
      H. Ikegaya, T. Nakase, K. Iwata, H. Tsuchida, S. Sonobe, T. Shimmen
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research

      巻: 125 ページ: 457-464

    • DOI

      10.1007/s10265-011-0457-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Further electrophysiological studies on cellular effect of herbicide, bromoxynil, using chracean cells2012

    • 著者名/発表者名
      T.Shimmen
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research

      巻: (印刷中)

    • DOI

      10.1007/s10265-012-0487-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Myosin XI-dependent formation of tubular structures from endoplasmic reticulum isolated from tobacco cultured cells, BY-22011

    • 著者名/発表者名
      E.Yokota
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 156 ページ: 129-143

    • DOI

      10.1104/pp.111.175018

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of myosin ATPase inhibitor 2,3-butanedione 2-monoxime on protein secretion of basidiomycete Coprinopsis cinerea2011

    • 著者名/発表者名
      K.Hashimoto
    • 雑誌名

      Biotechnology Letters

      巻: 33 ページ: 669-775

    • DOI

      10.1007/s10529-010-0497-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of protein synthesis in recovery from refractory period of electrical depolarization induced by osmotic stimulation in Chara coralline2011

    • 著者名/発表者名
      T.Shimmen
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research

      巻: 124 ページ: 639-644

    • DOI

      10.1007/s10265-010-0391-9

    • 査読あり
  • [学会発表] イカダケイソウの滑走運動機構2011

    • 著者名/発表者名
      山岡望海
    • 学会等名
      2011年日本植物学会近畿支部大会
    • 発表場所
      キャンパスプラザ京都(京都府)
    • 年月日
      2011-12-24
  • [学会発表] オオシャジクモにおける酸化的リン酸化脱共役剤の脱分極作用2011

    • 著者名/発表者名
      新免輝男
    • 学会等名
      2011年日本植物学会近畿支部大会
    • 発表場所
      キャンパスプラザ京都(京都府)
    • 年月日
      2011-12-24
  • [学会発表] 植物細胞におけるミオシン依存的な小胞体流動とアクチン繊維束の組織化2011

    • 著者名/発表者名
      上田晴子
    • 学会等名
      日本生化学会第84回大会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都府)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] 接合菌類ヒゲカビの原形質流動を担うミオシンの同定2011

    • 著者名/発表者名
      横田悦雄
    • 学会等名
      日本植物学会第75回大会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京都)
    • 年月日
      2011-09-18
  • [学会発表] イカダケイソウの滑走運動に関するアクチンの役割2011

    • 著者名/発表者名
      山岡望海
    • 学会等名
      日本藻類学会第32回大会
    • 発表場所
      東京海洋大学(東京都)
    • 年月日
      2011-05-14

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公開日: 2013-06-26  

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