研究課題
本年度は、次のテーマで大きな成果を挙げた。1)哺乳類のオキシトシンのオルソログであるイソトシンをウナギの血液中に投与すると、後脳にある能室周囲器官である最後野に作用して盛んな飲水を惹起する。その作用は、これまでに報告されている最も強力な飲水惹起ホルモンであるアンジオテンシンよりもはるかに強力である。作用部位が最後野であることは、そこを破壊すると飲水が起こらなくなること、および最後野のニューロンでc-fosの発現が上昇することから明らかである。阻害剤を用いて受容体を明らかにしたことを加えて、現在PNASに投稿中である。2)トビハゼの脳室中にアンジオテンシンを投与すると、水の中に入る時間が延長された。また、色素を用いて飲水量を測定したところ、投与により飲水量が増えていることがわかった。したがって、トビハゼは「渇き」に投棄付けられて水中に移動して飲水すると考えられる。これまで水生である魚類は、「渇き」の感覚なしに嚥下反射により口中にある水を飲んでいると考えていたが、魚類にも「渇き」の感覚があるようである。トビハゼの前脳に終板器官と言う能室周囲器官を見つけたので、おそらく脳室に投与したアンジオテンシンは哺乳類と同様に終板器官に作用をして「渇き」を惹起していると予想される。これを証明した後に論文としてまとめる予定である。3)ウナギとメダカを海水に移行させると、鰓と腸でで発現が上昇する遺伝子を同定した。その内には、海水移行後にすぐに発現が上昇する初期浸透圧反応遺伝子として他の遺伝子の発現を調節する転写因子や、以降後1日以降に発言が上昇する輸送体や細胞間接着因子などの遺伝子が見つかった。これらの多くは、これまで浸透圧調節への関与が知られていない新規遺伝子である。今後はこれら遺伝子の重要性をノックダウン技術により確認していく予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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