研究課題/領域番号 |
23247011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
寺北 明久 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30212062)
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キーワード | ロドプシン類 / 非視覚型オプシン / 光受容 / 光応答 |
研究概要 |
メラノプシンとエンセファロプシンの多様性について、試験管内と単離細胞での解析を試みた。 多様なメラノプシンのGタンパク質活性化能の解析:魚類の水平細胞に発現するメラノプシンおよびその変異体のGタンパク質サブタイプの活性化能を比較した。その結果、このメラノプシンが活性化するGタンパク質サブタイプの選択性には、細胞内の第3ループが関与していることが明らかになった。メラノプシンの多様性には、細胞内第3ループの多様化が関与している可能性が示唆された。 エンセファロプシン(Opn3)グループの13シス型レチナール結合能の変異体解析:ハマダラカエンセファロプシンは明確な13シス型結合能を持つ。この性質は、生理機能と密接に関係していると考えられる。発色団近傍のアミノ酸残基について、部位特異的変位を導入した変異体解析を行った結果、13シス型結合能には発色団近傍の1つのアミノ酸ではなく、多数のアミノ酸が関わることが示唆された。 メラノプシンを発現する水平細胞の単離と解析:水平細胞に発現するメラノプシンの上流配列下でGFPを発現する遺伝子導入ゼブラフィッシュの水平細胞を酵素処理等により分離し、その水平細胞のmRANについて、RT-PCRにより解析した。その結果、2種類のコネクシンを同定した。In situ hybridizationによる解析の結果、それら2種類のコネクシンがメラノプシン発現水平細胞に共局在し、ギャップ結合の形成に関わることが示唆された。また、単離細胞や網膜を材料に、GFP標識水平細胞について、カルシウムイメージングと細胞内記録を行える装置をセットアップし、予備的ではあるが、水平細胞の光応答の記録に成功した。 水平細胞に存在する多様なメラノプシンの解析:2種類のメラノプシンが異なる種類の水平細胞に別々に局在し、もう1つのメラノプシンは双極細胞にも存在していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メラノプシンとエンセファロプシン類についての、試験管間内実験は概ね順調に進んだ。また、ホールセル記録法を用いて、メラノプシン発現水平細胞について解析する予定であったが、カルシウムイメージングと細胞内記録法により解析することにより、網膜と単離細胞両方の応答を比較できるシステムを構築した。また、すでに、予備的ではあるが、水平細胞からの応答を得ることができた。また、水平細胞に存在する2種類のコネクシンの同定に成功し、異なる種類の水平細胞に存在する別の種類のメラノプシンを同定することにも成功した。以上の点を踏まえ、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子導入ゼブラフィッシュの作製を行いながら、カルシウムイメージングと細胞内記録法を駆使して、メラノプシン発現水平細胞を単離し、その単離細胞の光応答についての解析を推進する。特に、細胞内記録については、今年度に準備できたシステムを用いて、網膜組織と単離細胞の両方を比較解析することにより、生理機能を推測することも試みる。
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