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2012 年度 実績報告書

単離細胞を用いた非視覚型ロドプシン類の機能多様性に関する分子生理学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23247011
研究機関大阪市立大学

研究代表者

寺北 明久  大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30212062)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワードロドプシン類 / 非視覚型オプシン / 光受容 / 光応答
研究概要

ロドプシン類の多様性について、試験管内と単離細胞での解析を行った。
エンセファロプシンの生理機能の解析:11 シス型レチナールの産生能を持たない細胞において、ハマダラカのエンセファロプシンが13シス型を結合することにより、実際に光受容体として機能できるのかを、培養細胞を用いて解析した。cAMP依存的ルシフェラーゼを一緒に発現させて解析した結果、ハマダラカのエンセファロプシンは11シス型レチナールの添加なしで、機能することが分かった。
メラノプシンを発現する水平細胞の単離と解析:昨年度同定したメラノプシンを発現する水平細胞に存在している2種類のギャップ結合構成タンパク質(コネクシン)が、そのメラノプシン発現水平細胞のみに発現しているのかについて、抗体を作製して解析した。その結果、少なくとも1種類については、メラノプシン発現水平細胞のみに存在していることが明らかになった。また、RT-PCRの結果、新たに1種類のコネクシンがメラノプシン発現水平細胞に共発現していることが示唆された。また、メラノプシン発現水平細胞を単離して、光依存的なギャップ結合の開閉が起こるのかについて、Fura-2を用いたカルシウムイメージングで解析した結果、使用する蛍光色素の蛍光スペクトルがより長波長のものを選択する必要があることが分かった。
ナメクジウオにおける光受容細胞の同定:ナメクジウオにおける感桿型光受容細胞以外の光受容細胞の探索を、アレスチンをマーカーとしたin situ hybridizationや免疫組織学的手法を用いて行った。その結果、アレスチンを多量に発現する新規の光受容細胞候補を発見した。
遺伝子導入ゼブラフィッシュの作製:メラノプシン1の上流配列を単離し、その配列下でGFPを発現する遺伝子導入ゼブラフィッシュの作製のために取得した上流配列が、プロモーター活性を持つことが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

13シス結合能が、ハマダラカエンセファロプシン類の機能発現に重要な性質であることを明らかにできた。これは、米国科学アカデミー紀要に発表した。また、細胞内記録法とカルシウムイメージングについては、水平細胞の明確な光反応を捉えることは出来なかったが、どのような改良を行うことが重要であるかが明らかになり、来年度以降の研究への基礎データを十分に得ることができた。メラノプシン発現細胞におけるコネクシンの解析についても、その特異的発現とさらなる新規のコネクシンの発現を示唆する結果を得ることが出来た。以上の点を踏まえ、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

カルシウムイメージングについては、GFPの 励起・蛍光スペクトルとは異なる特性を持つカルシウム指示薬を用いる。また、水平細胞に cAMP感受性のルシフェラーゼやカルシウム感受性の蛍光色素を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを作製し、その水平細胞において、光依存的なcAMPやカルシウムの変化が起こるのかを直接解析することにより、単離細胞を用いた解析が推進できると考えられる。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Homologs of vertebrate Opn3 potentially serve as a light sensor in nonphotoreceptive tissue2013

    • 著者名/発表者名
      Mitsumasa Koyanagi
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.

      巻: 110 ページ: 4998-5003

    • DOI

      10.1073/pnas.1219416110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ハエトリグモはピンぼけ像を使って奥行きを知覚する2013

    • 著者名/発表者名
      小柳光正
    • 雑誌名

      遺伝

      巻: 67 ページ: 101-106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of UV-sensitive Parapinopsin in the Iguana Parietal Eyes and Its Implication in UV-Sensitivity in Vertebrate Pineal-Related Organs2012

    • 著者名/発表者名
      Seiji Wada
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 7 ページ: e39003

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0039003

    • 査読あり
  • [学会発表] Spectral characteristic of rhodopsin underlies a novel depth perception mechanism based on image defocus in a spider2012

    • 著者名/発表者名
      Takashi Nagata
    • 学会等名
      15th International conference on Retinal Proteins
    • 発表場所
      Ascona, Switzerland
    • 年月日
      20121001-20121003
  • [学会発表] 下等脊椎動物における松果体関連器官の波長識別システムの多様性2012

    • 著者名/発表者名
      小柳光正
    • 学会等名
      日本進化学会第14回大会
    • 発表場所
      首都大学東京南大沢キャンパス(八王子)
    • 年月日
      20120821-20120824
  • [学会発表] クモに学ぶ新しい奥行き知覚

    • 著者名/発表者名
      寺北明久
    • 学会等名
      日本真空学会関西支部&日本表面科学会関西支部合同セミナー2012 「生物に学ぶさまざまな機能 -環境に調和した自然界の知恵-」
    • 発表場所
      神戸大学(神戸)
    • 招待講演
  • [学会発表] レチナールタンパク質の進化と機能多様性

    • 著者名/発表者名
      寺北明久
    • 学会等名
      第50回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋)
    • 招待講演
  • [学会発表] クモにおけるピンぼけ像を用いた新規距離知覚メカニズム

    • 著者名/発表者名
      永田崇
    • 学会等名
      第50回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋)
    • 招待講演
  • [学会発表] オプシンと光受容機能の多様性

    • 著者名/発表者名
      寺北明久
    • 学会等名
      三重大学COE-Aシンポジウム「色覚・光受容機能の多様性・環境応答とその応用」
    • 発表場所
      三重大学(津)
    • 招待講演
  • [学会発表] Characterization and localization of a protostome homolog of an atypical opsin, peropsin, in the retina of a jumping spider

    • 著者名/発表者名
      Takashi Nagata
    • 学会等名
      日本比較生理生化学会第34回大会
    • 発表場所
      湘南国際村センター(三浦郡葉山町)
  • [学会発表] Identification and characterization of UV-sensitive parapinopsin in the Iguanaparietal eyes

    • 著者名/発表者名
      Seiji Wada
    • 学会等名
      日本比較生理生化学会第34回大会
    • 発表場所
      湘南国際村センター(三浦郡葉山町)
  • [学会発表] 下等脊椎動物における松果体関連器官の波長識別システムの多様性

    • 著者名/発表者名
      和田清二
    • 学会等名
      第17回日本光生物学協会年会
    • 発表場所
      大阪大学産業科学研究所(茨木)
  • [学会発表] ゼブラフィッシュ網膜におけるメラノプシン発現水平細胞に存在するコネクシンの同定

    • 著者名/発表者名
      澁谷祐子
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(豊中)
  • [学会発表] ナメクジウオのメラノプシン発現光受容細胞に存在するアレスチンの同定

    • 著者名/発表者名
      尾花愛梨
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(豊中)
  • [学会発表] 下等脊椎動物の波長識別能を持つ松果体における光受容タンパク質の同定と解析

    • 著者名/発表者名
      和田清二
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(豊中)
  • [学会発表] ハエトリグモの眼外神経組織における視物質様タンパク質の局在

    • 著者名/発表者名
      永田崇
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(豊中)
  • [学会発表] 松果体UV 光受容タンパク質パラピノプシンと共役するG タンパク質の免疫組織化学的同定

    • 著者名/発表者名
      山下(川野)絵美
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(豊中)
  • [学会発表] 有袋類の非視覚系光受容タンパク質の解析

    • 著者名/発表者名
      小柳光正
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(豊中)
  • [学会発表] 哺乳動物の概日リズムの調節を担う光受容タンパク質メラノプシンの分子特性

    • 著者名/発表者名
      塚本寿夫
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(豊中)
  • [学会発表] Molecular and functional properties of non-visual opsins

    • 著者名/発表者名
      Akihisa Terakita
    • 学会等名
      15th International conference on Retinal Proteins
    • 発表場所
      Ascona, Switzerland
    • 招待講演
  • [備考] 生体高分子機能学II研究室

    • URL

      http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/mphys/

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公開日: 2014-07-24  

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