研究課題
カルパイン(CAPN)は、限定分解により基質機能を調節するプロテアーゼである。CAPN1/2は古くから研究されながら、その普遍性のため機能解明が難航している。申請者らは組織特異的分子種を発見し、発現組織機能と関連づけて生理機能を解析してきた。その結果CAPN3、8/9の機能不全は筋ジストロフィー、胃疾患の原因となることを明らかにした。しかし各分子の作用機序は不明な点が多い。そこで組織特異的CAPNに注目し、組織機能制御の分子機構を解析した。特にKO/KIマウスとプロテオミクスを基軸とした解析で、ヒト疾患や遺伝子改変マウス表現型を参照し、CAPN不全疾患発症機序へも迫った。1. 骨格筋とCAPN3:CAPN3のKI及びKOマウスからの初代培養細胞、in vitro翻訳系と様々な発現コンストラクトを用いて、CAPN3の活性制御機構を解析した結果、他のプロテアーゼには見られない分子内相補という特殊な性質が明らかとなり、CAPN3の新たな機能が示唆された。2. CAPN8/9と胃腸機能:CAPN8/9不全はストレス性胃出血を増悪するが、この分子機序の解析を行った。大量発現系を確立し、CAPN8と9が酵素とシャペロンという異なる役割を果たすことを明らかとした。3. 新規組織特異的CAPN:CAPN6(胎児筋)、CAPN11(精巣)、CAPN12(毛包)について、KOマウスの表現型を中心に、各々骨格筋分化・成長過程、受精過程、毛包の細胞周期との関連を解析した。特にCAPN6では成獣骨格筋再生との関連について興味深い知見が得られたため、重点的に解析し、筋分化を抑制的に制御することを明らかとした。4. カルパインの基質特異性:生物情報学的手法を応用しその解明を目指した。ウェットな実験と機械学習を組合わせることで、高精度の切断部位予測器を構築した。そして、これまでの結果を総合して、カルパインの生理機能はその広い基質特異性と強く関係することが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://calpain.net/
http://calpain.org/
http://www.igakuken.or.jp/project/detail/calpain.html