研究概要 |
DNA相同鎖検索反応は、組換えの根幹をなす相同検索反応を真核生物ではRecAのホモログRad51が体細胞分裂期の組換えに機能する一方、減数分裂期の組換えにはRad51に加え、減数分裂期特異的RecAホモログDmc1が働くことと知られている。Rad51, Dmc1ともにDNA上のフィラメント構造は類似していて、その特異性は一緒に働く正,負の因子群の働きにより決まる。本研究は、Rad51, Dmc1によるDNA鎖相同検索反応の分子基盤を理解するために、我々の同定したRad51集合を助ける新規因子、Psy3-Csm2-Shu1-Shu2複合体の構造学解析に基づく分子論的機能解析、Dmc1の集合を担うMei5-Sae3複合体の構造解析に加え、相互作用する因子をDNA末端の機能的非対称性と言う点から機能解析し、統括的に体細胞、減数分裂期の組換えの特性を分子レベルで理解することを目的とする。23年度は以下の成果を上げた。 Psy3, Csm2, Shu1, Shu2の4つの因子は組換えに関わることが示されているが、その分子実体は不明であった。これらの因子の中で、Psy3, Csm2がコアとして4量体を形成し、これらが細胞内で、Rad51の集合を促進することを見出していた。さらに、Psy3-Csm2-Shu1-Shu2 (PCSS)4量体、Psy3-Csm2 (PC) 2量体を精製し、それらがDNA結合活性を有することを見出している。PC2量体の構造解析を目指して、結晶化を試みたところ、良質な結晶が得られ、十分な解析像が得られた。位相を決めるため、セレノメチオニンの誘導体を精製し、結晶化に成功した。現在、解説像をもとに、構造の精密化を行っている。Dmc1の集合を助けるMei5-Sae3の性質を理解するため、その構造解析の第一歩として、その結晶化に成功した。
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