研究課題/領域番号 |
23247035
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
稲垣 昌樹 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 部長 (30183007)
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研究分担者 |
井澤 一郎 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 室長 (20311441)
笠原 広介 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 研究員 (90455535)
後藤 英仁 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 室長 (20393126)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 中間径フィラメント / 増殖 / 分化 |
研究概要 |
プロテインキナーゼによる中間径フィラメントの構築制御は、ヘッドドメインのリン酸化を通じて行われる。in vitro, in vivo における解析から、ヘッドドメインに細胞周期特異的にリン酸化される部位が同定されている。しかし、それらの生理的な機能はほとんど解明されていないため、本研究では、ビメンチンの細胞分裂期特異的なリン酸化部位の変異マウスを作製し解析を行った。この変異マウスは、目においてレンズの発育異常および白内障をきたしたが、ビメンチンの発現はレンズで特に多いため、レンズで主に表現型が現れたものと考えられた。レンズ上皮細胞では、ビメンチンリン酸化異常によって引き起こされる細胞質分裂異常を認め、2核(多核)細胞が出現し、細胞数の低下を生じていた。レンズ上皮細胞はレンズ線維細胞に分化していくが、このレンズ線維細胞ではaneuploidyの出現を認めた。さらに、皮膚に損傷を与えて、その修復過程を観察した。皮膚損傷部位では、ビメンチンの発現が急増し、変異マウスの皮膚では、創傷治癒の遅延が認められた。詳細に解析すると、細胞数の低下、2核(多核)細胞の出現、aneuploidyの出現、細胞老化の所見などが観察された。また、このマウスにおけるレンズの白内障は、老化が早期に起こっためであると考えられた。これらの結果から、ビメンチンのリン酸化の意義が生体内で初めて明らかとなった。また、このビメンチン変異マウスは今後、aneupolidyと老化の関連の解明に有用なツールとなると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トリコプレインの機能の一端を解明した。また、中間径フィラメントのリン酸化の意義が初めて明らかとなってきており、おおむね順調に研究は進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ビメンチン変異マウスを用いて、さらにaneupolidyと老化の関連を解明していくため、ビメンチン変異マウスとp53ノックアウトマウスの交配などを行っていく。
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