研究課題/領域番号 |
23247045
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐伯 茂 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60211926)
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研究分担者 |
西川 禎一 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60183539)
羽生 大記 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (40301428)
曽根 良昭 美作大学, 生活科学部, 教授 (60145802)
由田 克士 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60299245)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境シグナル / 生体センサー |
研究実績の概要 |
ヒトの多くの生理現象は約24時間のサーカディアンリズムを有し、体内時計で制御されている。体内時計は環境シグナルに応答して環境情報を生体内に伝達し、生体の環境適応能を制御する。光が光感受性網膜神経節細胞に取り込まれると視床下部に情報が伝達され、視交叉上核の時計遺伝子の転写が制御される。視床下部を薬物や電気的に破壊した実験動物や時計遺伝子欠損マウスではサーカディアンリズムが変調し、過食・肥満が発症する。ヒトでも光に対する体内時計の応答性が低下すると、精神障害、睡眠障害、摂食障害、自律神経障害のみならず、メタボリック症候群が発症する。このことは、体内時計は環境に応答して代謝を制御することを示唆する。そこで本研究では、環境シグナルに応答して作動する生体センサーを明らかにすることを目的に研究を遂行した。正常動物とメタボリック症候群を発症する実験動物の視交叉上核に発現する時計遺伝子のサーカディアンリズムを4時間毎に24時間にわたって測定し、メタボリック症候群発症時にサーカディアンリズムに異常がある中枢時計の時計遺伝子を同定した。次いで、末梢時計が存在する肝臓、腎臓、脂肪組織、副腎などの時計遺伝子やメタボリック症候群関連遺伝子のサーカディアンリズムを4時間毎に24時間にわたって測定し、メタボリック症候群発症時にサーカディアンリズムに異常がある時計遺伝子やメタボリック症候群関連遺伝子を同定した。また、肝臓がメタボリック症候群の発症に大きく関与することから、正常動物とメタボリック症候群を発症する実験動物から得た初代培養肝細胞を三次元培養することで,肝臓での時計遺伝子とメタボリック症候群関連遺伝子のサーカディアンリズムを詳細に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタボリック症候群を発症する実験動物の視交叉上核に存在する中枢時計の時計遺伝子のサーカディアンリズムを、正常動物と比較検討し、メタボリック症候群の発症時に中枢時計で異常を有する遺伝子を同定出来た。メタボリック症候群を発症する実験動物の末梢組織に存在する時計遺伝子やメタボリック症候群関連遺伝子を、正常動物と比較検討し、メタボリック症候群の発症時に末梢組織で異常を有する遺伝子を同定出来た。メタボリック症候群を発症する実験動物と正常動物の初代培養肝細胞を三次元培養するに成功し,時計遺伝子とメタボリック症候群関連遺伝子のサーカディアンリズムを詳細に解析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、正常動物、メタボリック症候群を発症する実験動物を,室温環境と低温環境で飼育し、環境温度に応答して変動する生体成分の探索を行う。また,メタボリック症候群おいてサーカディアンリズムに異常を有する生体成分を制御する方策を探索しることも重要であると考えている。
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