研究課題/領域番号 |
23248004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大杉 立 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40343107)
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研究分担者 |
青木 直大 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (70466811)
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キーワード | 窒素利用効率 / グルタミン酸デヒドロゲナーゼ / 遺伝子組換え作物 / 炭素代謝 / 窒素代謝 |
研究概要 |
・GDH遺伝子を導入したバレイショ(GDHバレイショ)複数系統の光合成速度、代謝産物、徒長茎等の解析 (1)標準窒素区と低窒素区において開花期における光合成速度はGDHバレイショにおいて有意に高くなり,葉内の可溶性タンパク質含量も増大した.これより,開花期におけるソース能力が向上していることがGDHバレイショ複数系統において明らかになった.(2)葉のアミノ酸、有機酸濃度にはGDHバレイショとWTで有意な差は認められなかったが、塊茎のグルタミン酸濃度はGDHバレイショで増加傾向が見られた.これより,GDH遺伝子はバレイショ塊茎のグルタミン酸などのアミノ酸濃度に影響を与えていることが示唆された.(3)これまでの実験から、GDHバレイショは種イモから萌芽までの成長がWTより優れている可能性が示唆されたため、出芽した芽の徒長茎の成長量などを更に解析した。その結果、地下部(根)の新鮮重と乾物重に有意な増加が見られ、地上部/地下部比は有意に低下した。この結果から、GDHバレイショは出芽から萌芽まで根の成長を盛んにすることで、土壌からの栄養吸収能力を向上させ、地上部の成長を促進させていることが示唆された。(4)これまでの実験結果と併せて,麹菌A. nidulans 由来のGDH遺伝子を導入したバレイショにおいて,ソース機能の向上,塊茎乾物重の増大,塊茎への窒素・炭素分配の向上,窒素利用効率の向上などが認められた.塊茎乾物重の増大以外のこれらの優れた特徴は本研究で初めて明らかにされたものである.これらの結果から,麹菌A. nidulans由来のGDH遺伝子は施肥窒素の効率的利用を図ることの出来る作物を開発するために有効な手段の1つであることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、GDHバレイショの解析を中心に行い、ソース機能の向上、グルタミン酸濃度の上昇、萌芽期に向けての地下部乾物重の増加などGDHバレイショの優れた特徴を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はGDH遺伝子を導入した複数のイネ系統について、メタボローム解析、光合成機能解析などを行う。
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