研究課題
平成25年度の本研究においては、まず寄主トマト(品種マイクロトム)のゲノム配列解析とデータベース作成を行い、これを論文化した。Cuscuta japonicaのホウセンカへの寄生部位で発現しているC.japonica、ホウセンカ双方の遺伝子に関してこれまでとは異なるアセンブルソフトウェアを用いて改めて遺伝子配列の構築を行った。その結果、構築配列長さがこれまでより長くなりC.japonicaについて約6万、ホウセンカについて約2万の配列にまとめられた。複合生物系からのRNA-Seqとしては初めての試みと思われるリードが異種側へマッピングングされるエラーの起こる確率についても定量的に評価した。C.japonica とダイズの寄生系については、時系列RNA-Seqに着手した。茎に接触させた時点、そこから24時間、48時間の3時点についてRNA-Seqデータを取得した。根寄生植物Orobanche aegyptiacaに関しては、寄主トマト側でのオーキシン応答性遺伝子の発現増加に注目し、オーキシン蓄積状況を調べるためオーキシン応答性プロモーターにより蛍光タンパク質を発現するDR5::YFPトマトを利用することにより、O aegyptiaca寄生時のオーキシン分布を観測する試みに着手し、予備的な画像取得を行なった。またO. aegyptiaca遺伝子の機能解析を行うための形質転換系作成の第一歩として、液体培養系の確立に着手した。この液体培養系ではtubercleをin vitroで増殖できるため、切片作製用サンプルの取得も開始している。東北大学西谷教授、山口大学松井教授らとともに、C. japonica研究のワークショップを日本植物生理学会関連集会として開催した。
3: やや遅れている
昨年度は遅れを取り戻すことができ遺伝子発現プロフィールの解析まで進めることができたが、遺伝子発現が明らかになってから遺伝子の機能解析に進む段階で、形質転換体作出などに遅れが出ている。C.japonicaトランスクリプトーム論文を現在準備中であり、これは当初予定通り。
今後は、寄生植物と宿主植物について組織接続に関連があると考えられる遺伝子に関して、機能抑制あるいは過剰発現などの手法を用いて機能検証を進める。問題点としては、寄生植物に対する形質転換手法が確立されていないことが挙げられる。対応策としては、一例のみ報告のあるO. aegyptiacaの液体培養形質転換系を再現することを計画している。
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Plant and Cell Physiology
巻: 55 ページ: 445-454
10.1093/pcp/pct181