ガ類の性フェロモンは、化学構造的に大きく2つのタイプ(Type-I, Type-II)に分類できる。大部分のガ類がType-Iを利用しており、Type-IIの利用はシャクガ科、ヒトリガ科などのより進化した分類群にみられる。このことから、Type-IIの利用は、Type-Iのあとで2次的に進化したのではないかと推測された。本研究は、Type-I、Type-IIのフェロモン生合成系で働く生合成酵素遺伝子のクローニングと機能解析を通して、ガ類におけるフェロモン交信系の進化を探ろうとした。その結果、フェロモン合成酵素のうちとくに不飽和化酵素について、その進化過程を明瞭に示すことができた。
|