研究概要 |
①基幹合成原料に必要な分子構造を誘導しうる新規微生物触媒の開発 ジカルボン酸(セバシン酸)生産、ジオール・ジアミン生産、オレフィン生産に有用な微生物触媒の開発に取り組んだ。特に、ジオール生産に関し、これまでに構築した改変型TCAサイクルを活用するα-ケトグルタル酸(α-KG)供給系に共役化可能な水酸化触媒(ジオキシゲナーゼ)をゲノム情報を対象に探索し、水酸化位置の異なる新規酵素群(LdoA、SadA)の取得に成功した。また、ジカルボン酸・オレフィン生産に有用なアシルCoA合成酵素(ACS)に関して、糸状菌Mortierella alpina 1S-4に存在する12個のACSを酵母にて発現し、炭素数14~20の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸に対して活性を示すことを明らかにした。 ②エネルギー・電子を橋渡しする微生物機能の開発 酸化還元補酵素再生系、ATP再生系、アシルCoA再生系、α-KG再生系の開発に取り組んだ。特に、アシルCoA再生系に関し、α,β-不飽和カルボン酸とアセチルCoAからα,β-不飽和アシルCoAと酢酸を生成するLactobacillus hamsteri、α,β-不飽和アシルCoAをα,β-飽和アシルCoAへと還元するClostridium sporogenes、α,β-飽和アシルCoA と酢酸からα,β-飽和カルボン酸とアセチルCoA を生成するAtopobium fossorを選抜した。これら3株を用いることにより、アセチルCoAリサイクリング系と共役したα,β-不飽和カルボン酸の立体選択的飽和化反応系を構築することができた。また、酸化還元補酵素再生系に関し、FADH2の再生系として、Lactobacillus plantarum由来のfalvin:NADH reductaseを導入し、NAD(P)Hを還元力とする反応系を構築した。
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