研究課題
本年度は、河川水域を中心に集団遺伝学的手法を用いて以下の成果を得ることができた。「個体数」と「遺伝的多様性」の保全は、種の保全の際の主要課題である。トミヨ属淡水型(Pungitius pungitius)を対象に、個体数と遺伝的多様性がどの程度離れた湿地からの個体の移入の影響を受けるか調べた結果、影響を受ける湿地間の距離は遺伝的多様性の方が長かった(個体数:5km, 遺伝:12.5km)。この結果から、湿地間の連結性を保全・再生を行う際は、保全ターゲット(個体数or遺伝的多様性)に応じて適切な空間スケールを考慮する必要性があることが示された。個体群間の連結性に関する知見は、今後の湿地ネットワークの管理方針を決める上で不可欠である。遺伝データを用いて過去(開拓前)と現在(開拓後)のトミヨ属淡水型の移住率を比較した結果、過去の移住は地域全域で生じているのに対し、現在は隣接する遺伝グループ間にのみ制限されていた。これより、現在の農地内の流路網は小スケールの移動に寄与しているものの、より長期的な地域個体群の存続に不可欠な広域での移動は失われつつあることが示された。北海道北部の森林・農地が混在する流域において、トビケラ1種の個体群の安定性と個体群間の移出入の関係性を遺伝子データから推定した。その結果、避難場所(refugia)の少ない農地河川では、個体群の時間的安定性が低くなり、より安定的な森林河川から多くの個体が移入していることが示された。このことから森林河川は流域全体の個体群を維持するソースとなることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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