研究課題
従来、水ストレスによる通水阻害の進展を評価するために切枝を用いた通水コンダクタンス測定が行われてきたが、切枝作成時にアーティファクトとしての空洞化が生じることが問題となっている。そこで、ヤマブドウの茎に水切り処理を行った際の道管内の水分布の変化をMRIを用いて評価した結果、水切りによる空洞化と再充填がともに生じることが明らかになった(Ogasa et al. submitted)。シラカンバとカツラの鉢植え苗を用いて、MRIによる非破壊観察により通水阻害の進展過程を検討した結果、MRIでみた通水阻害面積の増加は通水コンダクタンスから求めた通水阻害率と一致し、年輪によりストレスへの感受性が異なった(Fukuda et al. Plant Cell and Environment)。通水特性が異なる落葉広葉樹6種について、木部の貯水性を測定し、木部の構造的特性と比較した。乾燥の各段階でcryo-SEMにより木部内の水分布を観察した。軽度の乾燥では、一部の道管の水が張力緩和のための貯水機能を果たしていた。強度の乾燥では、水を保持した細胞(一部の道管、種によっては木部繊維)が空洞化した道管の再充填に関与している可能性が考えられた(粟飯原ら生態学会発表)。道管の再充填においては、壁孔による隣接する負圧下の道管との隔離が0.1MPaの陽圧に耐えることを、キャピラリー法により明らかにした(大條ら生態学会発表)。病害による萎凋枯死過程については、ナラタケモドキおよびコフキタケによる枯死木を解剖して菌糸分布を明らかにした(中逵ら:樹木医学研究、古川ら:樹木医学研究)。ナラ枯れの菌糸のジェネット分布を明らかにするとともに(Takahashi et al. ForestPathology)、木部内の菌糸分布と道管の通水阻害およびチロース形成との位置関係を明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Cell and Environment
巻: 38 ページ: in press
10.1111/pce.12510
Forest Pathology
巻: 45 ページ: in press
10.1111/efp.12164
樹木医学研究
巻: 19 ページ: 52-53
巻: 19 ページ: 48-49
巻: 19 ページ: 29-36
木材学会誌
巻: 61 ページ: 25-32
10.2488/jwrs.61.25
巻: 45 ページ: 149-154
10.1111/efp.12148
巻: 18 ページ: 62-63
巻: 18 ページ: 64-65