生体分子の相互作用に基づいたマツ材線虫病発病機構の解明

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23248024
• 研究機関: 独立行政法人森林総合研究所
• 研究代表者: 佐橋 憲生 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 領域長 (10202102)
• 研究分担者: 長谷川 浩一 中部大学, 応用生物学部, 講師 (10609837) ; 菊地 泰生 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20353659) ; 山田 利博 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30332571) ; 秋庭 満輝 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553) ; 横井 寿郎 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (60378867) ; 神崎 菜摘 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70435585) ; 竹内 祐子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80452283) ; 楠本 大 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (80540608) ; 植田 充美 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90183201) ; 平尾 知士 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 主任研究員 (90457763) ; 渡辺 敦史 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10360471)
• 研究期間 (年度): 2011-04-01 – 2014-03-31
• キーワード: マツ材線虫病 / 感染症 / 宿主－寄生者相互作用 / 生体分子 / 網羅的解析 / マツノザイセンチュウ

研究概要

マツ材線虫病の発病機構を解明するために、感染の初期段階において、病原および宿主の発病に関わる遺伝子やタンパク質などの生体分子の挙動等を明らかにした。宿主モデルとしてマツ切枝を使用し、切枝通過前後に発現されるマツノザイセンチュウの遺伝子をRNA-Seq法により網羅的に解析した。その結果、マツ切枝通過前後ではマツノザイセンチュウの22遺伝子に発現の違いが認められた。この差異は、マツノザイセンチュウが宿主内の環境に速やかに反応して、遺伝子の発現を調節した結果、起こったものと考えられた。マツの切枝通過後のザイセンチュウでは通過前のセンチュウに比べコラーゲン遺伝子の発現低下が認められた。また、マツノザイセンチュウの表面タンパクは宿主感染後、その総量が約９倍にまで増加していた。特に、感染後のザイセンチュウではペルオキシダーゼ、カタラーゼなどの抗酸化作用あるいは解毒作用を持つタンパク質が宿主感染時に特異的に増加しており、マツノザイセンチュウは宿主の防御反応にすばやく対応して自らを防御していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)

理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Signatures of adaptation to plant parasitism in nematode genomes. (2014)
  • 著者名/発表者名: Bird, D.M., Jones, J.T., Opperman, C.H., Kikuchi, T., and Danchin, E.G.
  • 雑誌名: Parasitology 巻: 無し ページ: 1-14
  • DOI: doi:10.1017/S0031182013002163
  • 査読あり
• [雑誌論文] Characterisation of the transcriptome of Aphelenchoides besseyi and identification of a GHF 45 cellulase. (2014)
  • 著者名/発表者名: Kikuchi, T., Helder, J., Cock, P.J., and Jones, J.T.
  • 雑誌名: Nematology 巻: 16 ページ: 99-107
  • DOI: doi:10.1163/15685411-00002748
  • 査読あり
• [雑誌論文] Comparison of histological responses and tissue damage expansion between resistant and susceptible Pinus thunbergii infected with pine wood nematode Bursaphelenchus xylophilu (2014)
  • 著者名/発表者名: Kusumoto, D., Yonemichi, T., Inoue, H., Hirao, T., Watanabe, A., and Yamada, T.
  • 雑誌名: Journal of Forest Research 巻: 19 ページ: 285-294
  • DOI: 10.1007/s10310-013-0417-y
  • 査読あり
• [雑誌論文] Making headway in understanding pine wilt disease: What do we perceive in the post genomic era? (2013)
  • 著者名/発表者名: Shinya, R., Morisaka, H., Takeuchi, Y., Futai, K., Ueda, M.
  • 雑誌名: Journal of Bioscience and Bioengineering 巻: 116 ページ: 1-8
  • DOI: 10.1016/j.jbiosc.2013.01.003
  • 査読あり
• [雑誌論文] Secretome analysis of the pine wood nematode Bursaphelenchus xylophilus reveals the tan-gled roots of parasitism and its potential for molecular mimicry. (2013)
  • 著者名/発表者名: Shinya, R., Morisaka, H., Kikuchi, T., Takeuchi, Y., Ueda, M., Futai, K.
  • 雑誌名: PLoS ONE 巻: 8 ページ: e67377
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0067377
  • 査読あり
• [学会発表] RAD-seqを用いたマツノザイセンチュウ組み換え近交系の重要形質関連遺伝子群の探索 (2014)
  • 著者名/発表者名: 加藤徹朗・金子彰・八杉公基・本庄三恵・永野惇・工藤洋・森一樹・久原哲・二井一禎・竹内祐子
  • 学会等名: 第125回日本森林学会大会
  • 発表場所: 埼玉
  • 年月日: 2014-03-29
• [学会発表] 病原力が異なるマツノザイセンチュウ系統間での酸化ストレス耐性の差異 (2014)
  • 著者名/発表者名: 浴野泰甫・加藤徹朗・金子彰・竹内祐子
  • 学会等名: 第125回日本森林学会大会
  • 発表場所: 埼玉
  • 年月日: 2014-03-29
• [学会発表] A Time-Course Comparative Microarray Analysis of Different Genotypes in Japanese Black Pine (Pinus thunbergii) during Attack By Virulent Nematode (Bursaphelenchus xylophilus)
  • 著者名/発表者名: Hirao,T., Watanabe, A.
  • 学会等名: Plant and Animal Genome
  • 発表場所: サンディエゴ
• [学会発表] Bacterial flora and its association with the pine wood nematode (Bursaphelenchus xylophilus).
  • 著者名/発表者名: Kato, T., Futai, K., Takeuchi, Y.
  • 学会等名: IUFRO 2013 -Pine Wilt Disease Conference
  • 発表場所: Braunschweig, Germany
• [学会発表] Whole genome resequencing and SNP detection toward understanding population structure and parasitism of Bursaphelenchus xylophilus
  • 著者名/発表者名: Paromares-Rius, J.E., 金子彰・田中龍聖・秋庭満輝・竹内祐子・菊地泰生
  • 学会等名: 日本線虫学会第21回大会
  • 発表場所: 唐津
• [図書] 「生活環境と森林病害」、南基泰・山木昭平 編 環境生物学序論 (2013)
  • 著者名/発表者名: 長谷川浩一
  • 総ページ数: 259
  • 出版者: 風媒社
• [図書] Chapter 6. Pine Wilt Disease and Other Nematode Diseases. Pp. 115-127 In: Infectious Forest Diseases. Gonthier, P., Nicolotti, G. (Eds.) (2013)
  • 著者名/発表者名: Kamata, N., Takeuchi, Y.
  • 総ページ数: 672
  • 出版者: CABI Book