研究課題/領域番号 |
23248030
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
岡本 信明 東京海洋大学, その他部局等, その他 (40114912)
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研究分担者 |
二見 邦彦 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (00513459)
坂本 崇 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (40313390)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | ニジマス / 優性アルビノ / 候補遺伝子 / 4倍体起源種 / 染色体歩行 / ポジショナルクローニング / シンテニー解析 / BACクローン |
研究概要 |
(1)SSLP147を起点とする染色体歩行によるBACクローンの整列化の継続 H23年度にSSLP147を起点に準備済みのBACライブラリーを用いて染色体歩行を行ない、BACクローンの整列化に着手した。SSLP147が位置しているBACクローンを特定し、そのBACクローンの両末端部分の塩基配列を決定した後、BACライブラリーのスクリーニングを行なった。陽性クローンについて引き続き同じことを行い、陽性クローンの遺伝学的マッピングを行なって、BACクローンの整列化を行った。4倍体起源種であるために単離されてくる同祖染色体由来で、原因遺伝子座と異なる染色体由来のBACクローンの選択を回避するために、BACクローン選択ごとに先の1004個体の解析家系を使って連鎖解析を行ない、その方向性を確認しながら染色体歩行およびBACクローンの整列化を継続した。 2)整列化したBACクローンの末端部分から作成したDNAマーカーによる組換え率0%のBACクローンの特定 染色体歩行により整列化したBACクローンの末端部分から作成したDNAマーカーによる連鎖解析から、組み換え個体が0個体となるBACクローンを探索した。その結果、遺伝的組換え率0%のBACクローンを単離・同定した。このBACクローンと優性アルビノ遺伝子座との遺伝的距離は0cMとなり、解析家系において限界まで優性アルビノ遺伝子座に近づくことが出来た。 (3)得られたBACクローンの全塩基配列の決定とシンテニー解析による候補遺伝子の絞込みの着手 組み換え個体が0個体、すなわち、優性アルビノ遺伝子座との遺伝的距離は0cMとなった(完全連鎖)BACクローンを解析し、全塩基配列を決定した。BLASTn, BLASTxを用いて相同検索を行なったが、これまでに単離されている完全連鎖BACクローン内には有用な候補遺伝子は見つからなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
優性アルビノ遺伝子座とSSLP147の遺伝的距離が0.2cMであることから、SSLP147を起点とする染色体歩行およびBACクローンの整列化を継続し、これまでに遺伝的組換え率が0%となる優性アルビノ遺伝子座と完全連鎖するBACクローンを単離・同定した。遺伝的組換え率0%のBACクローン近傍に、目的とする原因遺伝子が存在する可能性があり、計画通りおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1)完全連鎖BACクローンの単離と全塩基配列決定およびシンテニー解析による候補遺伝子の絞込みの継続 H24年度に遺伝的組換え率が0%となる優性アルビノ遺伝子座と完全連鎖するBACクローンを単離・同定した。しかしながら、これまでに単離されている完全連鎖BACクローン内には有用な候補遺伝子は見つからなかった。ゲノム上で、染色体乗り換えの頻度に領域差があることが知られており、現在解析している優性アルビノ遺伝子座の染色体乗り換えの頻度は、不明である。そのため、優性アルビノ遺伝子座と完全連鎖する領域の物理的距離(いくつのBACクローンでカバーできるか)は不明である。そのため、H24年度に引き続き、染色体歩行およびBACクローンの整列化を継続し、優性アルビノ遺伝子座と完全連鎖するBACクローンを単離・同定する。得られたBACクローンの全塩基配列の決定とシンテニー解析による候補遺伝子の絞込みを継続する。 (2)ヘテロ型アルビノニジマスの受精卵への候補遺伝子のアンチセンス鎖導入と表現型確認による原因遺伝子の特定 優性アルビノ遺伝子座と完全連鎖するBACクローン内の解析等により、得られた候補遺伝子のアンチセンス鎖を作成し、ヘテロ型アルビノニジマスの発眼卵のそれを導入する。アンチセンス鎖による候補遺伝子の発現抑制から、表現型が野生型になることの確認によって、候補遺伝子を原因遺伝子であると特定する。
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