研究課題
本研究では、満潮前後で毎日産卵を繰り返すミツボシキュウセン(もしくはホンベラ)と大潮付近で産卵するトラフグ(もしくはクサフグ)を主たる実験材料に用い、潮の情報が内因性のリズムに転換されて産卵にまでいたる道筋を明らかにすることを目的としている。ミツボシキュウセンとホンベラを用いてドーパミン合成の律速酵素であるTyrosine hydroxylase(TH)の脳内局在を免疫組織化学的手法で調べた。TH陽性ニューロンは、主に視索前野(POA)と後結節(PT)、そして視床下部と思われる領域に局在していた。PTでは脳室周辺後結節核と考えられる領域で、TH陽性ニューロンが脳室周辺から外側に向かって伸びていることが確認できた。視床下部では、TH陽性ニューロンが外側隆起核と思われる領域で見られた。ホンベラのTH陽性ニューロンもPOA、PT、及び視床下部で観察できた。TH陽性ニューロンの神経末端が下垂体で見られた。DAが潮汐に関わる環境情報伝達ネットワークの一つとして潮汐情報を生殖内分泌軸に伝える役割を担っている可能性が考えられた。トラフグ眼球由来の培養細胞FuguEyeにおける時計遺伝子の発現制御の細胞内情報伝達経路を明らかにするために、外部刺激として熱および種々の波長の光を与えて遺伝子変化を調べた。その結果、熱には応答しないものの、赤~近紫外までの様々な光に応答することが判明した。また、光刺激に伴う遺伝子発現変動プロファイルの比較から、光に対する応答性は遺伝子によって異なることが分かった。以上の結果から、トラフグにおいては、潮汐刺激と並んで水深や月齢の違いによる光環境の変化が刺激となっている可能性が示唆される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fish Physiology and Biochemistry
巻: 41 ページ: 61-71
DOI 10.1007/s10695-014-0006-9
PLoS One
巻: 9 ページ: e109119
http://www.takemura-lab.jp