研究課題/領域番号 |
23248040
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 章 京都大学, 農学研究科, 教授 (80157742)
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研究分担者 |
小林 晃 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (80261460)
西村 伸一 岡山大学, 環境学研究科, 教授 (30198501)
藤澤 和謙 岡山大学, 環境学研究科, 講師 (30510218)
柴田 俊文 松江工業高等専門学校, 准教授 (30342546)
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キーワード | データ同化 / 浸食予測モデル / リスク / ため池 / アセットマネジメント / LCC |
研究概要 |
近年、台風や集中豪雨により防水・利水を目的とする堤防やため池等の土構造物が決壊に至る事例が多く報告されている。その主要な原因として越流(越水)が挙げられる。越流による破堤現象については、破堤幅を予測することが困難であり、そのため、どのくらいの土砂量が流出するかを推定できず、堤体の下流域に及ぼす被害が正確に予想できないのが現状である。そこで、本研究では、堤体の被害に直接かかわる堤体の破堤幅予測することを目的に、堤体侵食の三次元性を実験的に解明することに取り組んだ。 ■実験概要 実験水路(長さ450m,幅40cm)を作成し、ポンプにより最大400l/minの流量を供給した。堤体材料には最大粒径5mmのマサ土を用い、堤高30cm,天端幅10cm,2:1の斜面勾配を持つ堤体を実験水路中に作成した。堤体の乾燥密度は約1.7g/cm^3に調節した。実験では、越流量を求めるために堤体上流側の水位を差圧計による測定し、堤体が侵食される様子をデジタルビデオカメラにより撮影した。実験終了後には、残留した(侵食されなかった)堤体材料を回収し、越流時に流出した土砂量を計算した。 ■実験結果 実験では、水路への水の流入量を変化させて越流量の差による水路幅や侵食過程の違いを観察した。越流を被った堤体は初期には全体的に水があふれ出して、下流側斜面の全面が侵食を受けるものの、時間が経過に伴って集中的に侵食される領域が出現した。水路への水の流入量が160,210,265l/minの実験結果から、越流量と流出土砂量の関係をまとめたものである。なお、差圧計と流量計を用いて、越流量の測定も行った。越流量と流出土砂量には現状でも一定の関係は確認できたが、さらに実験データを蓄積する予定である。 上記のほか、兵庫県内で豪雨により半決壊したため池や、原因不明の漏水があったため池を調査し、土質データや原位置コーン貫入試験などのデータを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度主要設備備品を用いた堤体越流侵食実験は、予備実験を経て順調に遂行した。岡山大学で既設学生実験用水路を利用する関係で、実験時期が後期に限定されたが、当初予定した内容・スケジュールで実験を実施した。成果について平成24年度に学会発表を行う予定である。ため池の予備調査や土質データ収集は兵庫県において行ったが、京都府については予備検討にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度購入予定の設備備品を用いた実験計画について、岡山大学で初回の検討会を行った。初年度購入設備による実験の継続も含めて、次回の検討会で本年度の研究推進に関する具体案を作成する。外国人研究者招へい(短期)で申請した研究者招へいが採択されれば、連携研究者に加えて研究の一層の進展を図る。
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