研究概要 |
(1)グルココルチコイド永続的上昇の分子メカニズム解明: GRは核内受容体であり、さまざまな遺伝子発現制御に関与することが明らかとなってきている。平成23年度においては、グルココルチコイドの伝達経路に関わる遺伝子の発現を調査した。その結果、11b-HSD1,11b-HSD2,ステロイド合成酵素群(StRA,P450Scc,3b-HSD,P450C21,P450C11)には変化がなく、脳内で直接的にグルココルチコイドが産生される可能性は低いと思われた。(担当:菊水健史)。早期離乳されたマウスの脳内GR発現量に加え、肝臓のGR発現を比較したところ、高脂肪食の給餌により、早期離乳されたマウスではGR発現が上昇することが明らかとなった(担当:茂木一孝)。 (2)申請者らはこのストレス移行期には、母親と共に過ごすことで、ストレス時のGCの上昇が抑制されることを見出してきた。平成23年度には母親との接触によるGC分泌低下を明らかにした。また日本盲導犬協会にて、幼少期の母子関係、発達期のストレス内分泌応答、さらには成長後の新奇刺激に対するストレス内分泌応答と行動反応に関する大規模調査研究を行った。その結果、幼少期のコルチゾール値が不反応な個体は成長後の行動適性評価が低いことが明らかとなった(担当:菊水健史、永澤美保)。 (3)成長後の生体機能強化法の開発:早期離乳された動物のストレス応答やその他の障害の改善手法の確立を目指した。平成23年度はcarbenoxolone、GCの中枢作用を緩解させるBDNFアンタゴニストの7,8-DHF、三環系抗うつ薬であるイミプラミンの改善作用を見出した(担当:茂木一孝)。
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