研究課題/領域番号 |
23248049
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
菊水 健史 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90302596)
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研究分担者 |
茂木 一孝 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (50347308)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マウス / 行動 / ストレス / グルココルチコイド / 内分泌 |
研究概要 |
①グルココルチコイド永続的上昇の分子メカニズム解明: 平成23年度はグルココルチコイド合成経路に変化が見いだせなかった。そこで本年度はグルココルチコイド情報伝達経路に着目し、網羅的に遺伝子発現を解析した。その結果、グルココルチコイド受容体の細胞内でのシャペロンタンパク質であるFKBP5の発現が、早期離乳されたマウスで低下すること、さらに血管上皮に存在し、グルココルチコイドの取り込みを制御するpグルコプロテインの遺伝子であるmdr1aの発現が上昇することを見出した。それに並行して前頭葉のグルココルチコイド含有量が早期離乳群で上昇することが明らかとなった(担当:菊水健史)。 ②早期離乳されたマウスでは恒常的な高グルココルチコイド血漿になることがわかった。またそれに付随して血中のアミノ酸プロファイルが変化した。また福島県から導入した被災犬のストレス応答性を調べたところ、他のイヌに比べて5-10倍の高い値を長期的に示し、さらに後ストレス症候群様の行動変化(愛着障害と学習障害)を伴うことを明らかにした。(担当:菊水健史、永澤美保)。 ③成長後の生体機能強化法の開発:早期離乳された動物のストレス応答やその他の障害の改善手法の確立を目指した。平成24年度にはマウスを用いて、米ぬか由来の成分が、離乳直後のグルココルチコイド過剰分泌を抑制する傾向を示すことを見出した(担当:茂木一孝)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、グルココルチコイド永続的上昇の分子メカニズム解明を目指し、新規ターゲット分子としてFKBP5とMDR1Aを明らかにした。盲導犬協会の実験も順調に例数が追加され、ほぼ計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
GRの抗体を用いたChIPアッセイを行い、これまで見出してきたFKBP5とMDR1Aが幼少期のGC過剰の直接的ターゲットになっているかを調べる(担当:菊水健史)。同時に、GRによるDNAヒストンのメチル化、特に近年注目されているH3K9サイトのメチル化状態を調べる(担当:菊水健史)。 早期離乳マウスに重要な社会因子を戻した場合の、行動ならびに内分泌反応を計測する(担当:茂木一孝) 盲導犬協会において、幼少期ストレス応答と関連の深い成長後の行動特性を同定する(担当:永澤美保)
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