研究課題
① グルココルチコイド永続的上昇の分子メカニズム解明:平成24年度はグルココルチコイド情報伝達経路に着目し、網羅的遺伝子解析を行い、グルココルチコイド受容体の細胞内シャペロンタンパク質であるFKBP5のmRNA発現が早期離乳されたマウスで上昇を見出した。平成25年度はこれらの遺伝子発現が機能的タンパク質としても変化するかを調べた。FKBP5蛋白は成長後の早期離乳マウスにおいて、発現上昇が認められ、特にその上昇はオスで高いことが明らかとなった。早期離乳の不安上昇効果はオスで顕著であることから、行動データと一致する結果である(担当:菊水健史)。② 早期離乳による全身性機能障害の検出平成25年度は早期離乳されたマウスでは代謝障害も生じていることを見出した。早期離乳により高脂肪食への嗜好性の増加が認められた。また、肝臓の脂肪酸代謝恒常性のセンサーとされるPPARγの発現が高脂肪食摂食時に早期離乳群では変化が認めらなかった。さらに糖負荷試験では、グルコース投与30分後のピーク時の値が早期離乳群で低下する事、インスリンが上昇することが明らかとなり、早期離乳によるII型糖尿病の可能性が見出された(担当:茂木一孝)。③ 生体機能強化法の開発:早期離乳による離乳直後の高グルココルチコイドに対する米ぬか成分の影響を調べた。早期離乳直後の高グルココルチコイドは早期離乳によって生じる不安上昇の原因であることを同定している。米ぬか成分の摂食によりグルココルチコイド値の上昇が抑えられた。このことは、米ぬか成分が家畜などの離乳期のストレス改善効果をもつ飼料として役立つ可能性を示した。現在、離乳期の米ぬか成分が成長後のストレス応答性を改善するかを検討中である(担当:菊水健史)。
2: おおむね順調に進展している
早期離乳による脳内グルココルチコイド高活性の分子メカニズムが明らかになりつつある。また新たに高グルココルチコイドを抑制する成分もどうしてしてきた。ほぼ、計画通りに進行している。
グルココルチコイド受容体を介してFKBP5の発現上昇が引き起こされるかをChipアッセイで確認する。これに並行して、FKBP5の上流の発現調節領域におけるDNAメチル化、ヒストンアセチル化を解析し、分子メカニズムの解明に迫る。早期離乳マウスの高ストレス反応性を米ぬか成分で抑制できるかを明らかにする。盲導犬協会にて、母性行動とストレス内分泌軸の発達、ならびに社会行動、盲導犬としての合否がどれだけ関与するかを明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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