研究課題/領域番号 |
23249001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 俊一 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80107391)
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研究分担者 |
穴田 仁洋 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (90344473)
南部 寿則 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 准教授 (80399956)
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キーワード | ロジウム(II)錯体 / 不斉触媒反応 / シクロプロペン化 / α-アルキル-α-ジアゾエステル / 不溶性高分子担持型錯体 / カルボニルイリド / フロー合成 / 1,3-双極付加環化反応 |
研究概要 |
本年度は、特にN-フタロイルアミノ酸およびフタルイミド基ベンゼン環をハロゲン原子で置換したアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体を機軸とする不斉反応を検討し、以下の成果を得た。 (1) 種々の置換様式をもつα-アルキル-α-ジアゾエステルを用いた不斉シクロプロペン化反応を検討したところ、Rh2(S-TBPTTL)4を触媒に用い、エステル部分をかさ高い2,4-ジメチル-3-ペンチルエステルとすることが高い不斉収率の獲得およびアルケン副生の抑制に必須であることが分かった。本反応はベンゼン環上に様々な置換基を持つフェニルアセチレン誘導体が基質として適用可能であり、いずれの場合もシクロプロペン誘導体を極めて高い不斉収率で得ることができた。これらの結果は、α-アルキル-α-ジアゾエステルとアルキンとの不斉シクロプロペン化反応の最初の例となる。 (2) Rh2(S-TCPTTL)4の四つの架橋配位子のうち一つの配位子のフタルイミド基に末端スチリル基を組み込んだ単量体Rh(II)錯体を調製し,2-(トリフルオロメチル)スチレンおよび架橋剤との共重合反応を行い,不溶性高分子担持型Rh(II)錯体を合成した。この錯体32 mgと海砂4 gを管径11 mmの反応容器に充填したフローリアクターを作成し、α-ジアゾ-β-ケトエステルとスチレンを流速0.5 mL/hで注入すると、良好な収率で付加環化体を得ることができた。誘導結合プラズマ質量分析による反応残渣へのロジウムの浸出は2.1 ppmであり、これは反応に使用した錯体の0.013%に相当する。さらに、本フローリアクターは60時間の連続使用に耐えることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規ロジウム(II)カルボキシラート錯体Rh2(S-TBPTTL)4を創製することにより、α-アルキル-α-ジアゾエステルとアルキンとの不斉シクロプロペン化反応に初めて成功した。また、高い耐久性をもつ固相Rh(II)錯体充填型フローリアクターは、有力な不斉合成プロセスの一つを提供することが期待できる。これらの成果は、これまで注目されていなかったα-アルキル-α-ジアゾエステルを用いる分子間不斉触媒反応開発を大きく推進するものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後はα-アルキル-α-ジアゾエステルを用いた種々の分子間不斉カルベン反応を展開する予定である。
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