研究概要 |
すでに臨床使用されている一本鎖核酸医薬は、薬物送達システム(DDS)を使用しなくとも局所投与や全身投与できると考えられており、その方向での開発が盛んに行われている。今回、肝臓で主に発現しているmicroRNA-122 (miR-122)のアンチセンス分子(AMO-122)をヌクレアーゼ抵抗性(2’-OMe体およびphosphorothioate: PS型に修飾)にし、肝臓指向性にしたpH感受性型リポソーム(YSK05-MEND)に搭載し、マウスを用いるin vivo実験を行った。その結果、1 mg/kgのAMO-122をYSK05-MENDに搭載しday 0, 2, 4に3回尾静脈注射したところ、miR-122が約70%ノックダウン(miR-122で抑制されていた肝臓中の遺伝子AldoA, Bckdk, Ndrg3の発現は1.7~2.8倍に増加し、血中コレステロール値も低下した)が観察され、その効果は2週間以上に亘って持続した。しかし、同量のAMO-122を細胞内導入試薬リポフェクタミン2000と混合して同じスケジュールと量で投与しても活性発現はまったく観察されなかった。従って、一本鎖核酸医薬をDDSに搭載して投与することで投与量を減少させることが可能になるとともに副作用の軽減にも繋がることが期待される。一方、DNA中のCpG配列のメチル化を行うDNMT1やDNMT3の阻害剤として、新規にピリジンC-ヌクレオシド(C*)pGを含むオリゴヌクレオチド(ODN)を見いだした。このODNは、SAMやSAH非存在下でも阻害活性を示した。従来、本酵素の阻害には、二種類の複合体形成が必要であると言われていたが、その構造的実体は不明であった。ゲル電気泳動で両複合体の移動度が明らかに異なりそれらが上記の2つの型を示している可能性があり興味深い。
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