研究課題
野生型マウス(C57BL/6)にStrongyloides venezuelensis (Sv)を感染させると、感染約12日目でSvは排除される。最初に感染マウスにおけるIgG1とIgE産生のタイムコースを調べた。感染10日目ごろから血中IgG1とIgEが顕著に上昇し、それぞれ14日目にピーク値となる。本研究では、産生されたIgGとIgEがSvの排除に重要か否かを検討した。野生型C57BL/6マウス(B6)とB細胞におけるクラススイッチが障害されているAID欠損マウス(AID欠損)にSvを感染させた。B6に比べAID欠損ではSvの排虫が約10日間遅れた。ところが、二度Svを感染させたマウスから得た過免疫血清を、AID欠損マウスに感染6日目と7日目に計2回投与したところ、B6よりも2日間も早く排虫を完了した。次に、Sv過免疫血清からIgGとIgE分画を精製し、Svを感染させたAID欠損に感染6日目と7日目に計2回投与したところ、IgGとIgEの投与量依存的にSvの排虫が促進された。更に遺伝子改変マウスを用い、IgGが低親和性IgG受容体FcγRIIIに作用して、またIgEが高親和性IgE受容体FcεR1に作用して腸上皮肥満細胞を活性化することが明らかとなった。面白いことに、受容体の単独欠損マウスは正常なSv排除能を有していた。ところが、FcγRIIIを欠損マウスに抗FcεR1抗体を投与すると、Sv排除能が著しく低下した。同様にFcεR1欠損マウスにIgGのFcγRIIIへの結合を阻害する抗IgG抗体を投与すると、Sv排虫能が著しく低下した。以上の研究結果から、IgEが高親和性IgE受容体FcεR1に結合し、IgGがIgG低親和性受容体FcγRIIIに結合することで肥満細胞を協調的に活性化して、Svの排除にあたることが明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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