研究課題
抗血栓薬の薬効は個体差が大きく、安全、効率的な治療にはモニター検査が重要である。しかるにこれまで使用されてきた検査、例えば血小板機能検査については、手技の複雑さ等から理想的なモニター検査とは程遠い。本研究の目的は、現在市場に出ている抗血小板薬、抗凝固薬、ならびに近未来に主流になると予想されるこれら薬剤の効果判定の為のモニター法を確立し、標準化に向けた基礎的データを得ることである。平成27年度は5年計画の最終年度として、それまでの研究を総括するとともに、引き続き近年保険収載され急速に普及している直接型経口抗凝固薬(DOAC)に着目し、有用なモニター法を探索する為の検討を行った。トロンビン力価の異なる2種類の試薬間におけるClauss法でのフィブリノゲン測定値の乖離に着目し、モニタリングへの応用の可能性について検討した。その結果、アルガトロバン、ダビガトランのモニタリングにおいてFIB比は特に出血の危険域の察知に有用である可能性が示唆された。またこの際、Lineweaver-Burk plotが有用である事が示唆された。今後は作用点が既知の抗血栓薬については標的分子の下流にある因子の変化に着目し臨床検査として実用的なものの絞り込みを行ってゆく必要がある。またDOACの血中濃度定量の更なる検討が必要である。再現性、直線性試験、最小検出限界試験、干渉物質の確認を行い、正確性評価として当該NOACの添加濃度真値との比較相関、および液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)による測定濃度との比較相関も必要である。本研究においては当初の予定に加え心房中隔欠損(ASD)に対するパッチ手術時の血栓予防のための抗血小板薬使用や、クロピドグレルの粉砕内服によるローディーングの効果(血小板機能に与える影響)を検討し、大きな成果を得た。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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