研究課題
平成23年度は、山形県上山市、福岡県福岡市、兵庫県尼崎市、鹿児島県霧島市、埼玉県本庄市(2カ所)、兵庫県加古郡播磨町、東京都青梅市でコホート調査を実施し、鹿児島県いちき串木野市、鹿児島県霧島市で新規の事業所についてbaseline studyを実施した。今まで常時実施している検査項目に加えて、7事業所で検診車によるHRCTを撮影し、3事業所であたらに導入した一酸化炭素肺胞拡散能検査(DLco)を実施した。検査結果については集積中であるが、血清インジウム濃度は低下傾向にはあるものの、半減期は5年以上と推定された。肺間質性変化の指標であるKL-6はほとんどの作業者で低下しているが、HRCT上は気腫性変化が統計学的に有意に進展していることが判明した。DLcoについては、測定手技が易しいものではなく、検査者・被験者双方の習熟が不十分で、現段階ではデータの信頼性に問題を残している。1事業場はインジウムの肺障害性に関する情報伝達が不十分で労働衛生管理がなされておらず、規模は零細ではあるが死亡例が発生した職場に近い環境としてインジウム粉じんのサンプリングができ、現在濃度測定注である。1事業場は本格的な環境改善を開始し、改善前後の環境変化の測定が期待できる。我々の研究成果等により、平成22年12月22日に厚生労働省から技術指針が発出され、労働衛生管理が努力義務化されたが、平成23年度には複数の厚生労働省の委員会の検討の結果、「インジウムおよびその化合物」は特定化学物質等障害予防規則対象物質となり、24年度の法令改正後に施行される予定である。
2: おおむね順調に進展している
8事業所の追跡検診と、新規の2事業所の検診及び環境・曝露濃度測定が実施できている。
今までに実施してきた研究手法を変更する必要性はない。バイオロジカルモニタリングとして、毛髪に付着しているインジウムの測定が環境評価及び労働衛生教育に有用な可能性があり、24年度には明らかにしていく予定である。また、いままで対象としていなかった金属インジウム工場についても、実施できる可能性があるので、積極的にアプローチする。
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