研究課題/領域番号 |
23249037
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩瀬 正典 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (00203381)
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研究分担者 |
清原 裕 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80161602)
康 東天 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80214716)
久保 充明 独立行政法人理化学研究所, センター長代行 (30442958)
土井 康文 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00419566)
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キーワード | 糖尿病 / コホート研究 / うつ症状 / 栄養調査 / 身体活動量 / 高血圧 / 遺伝子多型 / 前向き研究 |
研究概要 |
調査状況 平成20年度から22年度にかけて福岡県内の日本糖尿病学会研修認定施設と認定専門医の診療所に通院中の糖尿病患者5131人を登録し、生活習慣、うつ症状、治療状況などを調査し、血液、尿、DNA検体を収集した。平成23年度は登録患者の治療状況や合併症(脳心血管障害、腎機能、網膜症、足病変、重症低血糖、骨折、癌など)の追跡調査を行った。1年後の追跡率は99%以上で、死亡者は33人であった。死因は癌と脳血管障害が最も多かった。合併症イベントは骨折が最も多く、心臓病、癌、重症低血糖が続いた。 研究成果 非糖尿病の対照群として、平成19年度の久山町健診受診者3351人を合わせた8482人からなるデータベースを構築し、登録時の断面調査のデータを解析した。以下に主な結果を示す。(1)糖尿病患者では久山町の正常耐糖能者と比べてうつ症状を有する人が2.6倍多く、糖尿病合併症が重症化するほどうつ症状が強かった。(2)正常耐糖能者、前糖尿病者、2型糖尿病患者のいずれにおいても、食事速度が速いほど肥満やメタボッリク症候群の合併が増加していた。さらに、インスリン治療者では食事摂取速度が速いほどHbAlc が高値であった。(3)糖尿病患者では正常耐糖能者より高血圧の合併が有意に多く、ガイドラインが推奨する130/80以下は40%程度に過ぎなかった。(4)食物繊維の摂取量を四分位に分けて検討したところ、食物繊 維摂取量が多いほど、肥満者が少なく、血糖、血圧、脂質が良好であった。(5)身体活動量をメッツ換算で評価したところ、身体活動量の増加はメタボリック症候群やうつ症状の減少と関連していた。(6)飲酒者に は高血圧の合併が多く、飲酒量の増加に伴い、血圧が上昇し、朝食前血糖も上昇していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病患者と非糖尿病者からなるデータベースが予定通り構築でき、断面調査が可能となった。追跡調査も1年後の時点で、99%以上の高い追跡率を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、保存してあるDNAや血液を用いて、遺伝子解析や検体検査を開始する予定である。また、2年後の追跡調査についても、高い追跡率が維持できるよう調査を進める予定である。現在のところ、特に問題点は生じていない。
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