研究課題/領域番号 |
23249037
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩瀬 正典 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00203381)
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研究分担者 |
久保 充明 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, その他 (30442958)
清原 裕 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80161602)
康 東天 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80214716)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 疫学 / コホート研究 / 生活習慣 / 睡眠 / ゲノム疫学 / 心血管病 / 身体活動量 |
研究実績の概要 |
福岡県内の糖尿病を専門とする医療機関16施設に平成20年から22年にかけて通院中の糖尿病患者5131人について、食事、運動、メンタルヘルス、検査値、治療を含む臨床情報ならびに血液、尿、DNAを収集し、コホート集団とした。追跡調査は5年間の予定で、登録患者の治療状況や合併症(脳心血管障害、腎機能、網膜症、足病変、重症低血糖、骨折、癌など)について医師が直接カルテや画像診断などを閲覧し、高い精度でフォローしている。平成26年度は、このコホート集団について6年目の追跡調査を行った。 本年度の論文発表は、①昨年に引き続き糖尿病患者の睡眠時間の問題を検討し、メタボリック症候群の合併が睡眠時間が短くても(5.5時間未満)、長くても(8.5時間以上)7時間睡眠より高頻度である(Metabolism)、②身体活動量調査で早足での歩行を週に2時間以上行うと健康に良い効果が認められたが、血糖コントロールの改善にはある程度以上の強度の運動が必要である(PLoS ONE)ことを報告した。 また、理化学研究所との共同研究により糖尿病と関連する遺伝子多型(SNP)を解析し、 ①糖尿病性腎症関連遺伝子の検討、②2型糖尿病患者におけるアルコール代謝遺伝子多型の影響、③グルコキナーゼ調節蛋白質(GCKR)遺伝子多型の多面的な影響、④2型糖尿病疾患感受性遺伝子とGAD抗体がインスリン分泌へ及ぼす影響、⑤2型糖尿病患者の食物繊維の効果に及ぼすFTO遺伝子多型の影響、⑥2型糖尿病患者の運動療法の効果に及ぼすKCNQ1とFTO遺伝子多型の影響 を学会発表した。特に肥満遺伝子を有する糖尿病患者では食物繊維や運動の効果がより顕著であり、今後のテーラーメイド医療への応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コホート研究の追跡調査は4年を過ぎているが、追跡率は90%以上を維持している。また、遺伝子解析も予定通り行われている。断面調査データを用いた研究成果は、論文発表、学会発表を順次行っており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は当初の追跡調査予定期間5年間の最終年度となるため、糖尿病合併症などすべての評価項目について可能な限りデータを収集する。また、公開セミナーや報告書などで成果の公開を行う。主なデータ解析は、遺伝因子(SNP)と環境因子の相互関連および追跡調査データの中間解析を行う
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